どうやって移動する? 免許や車検は? 積載量400トンなんてものある「怪物ダンプ」の知られざる中身 (2/2ページ)

大規模プロジェクトの建設現場で活躍

 先にも触れたが、「重ダンプトラック」は公道を走れない。すなわち、一般的な土木・建築現場で使用されることがないのである。それではどんなところで使用されているのかというと、そのおもなフィールドはダムや空港といった、広大な敷地で行われる大規模プロジェクトの建設現場なのである。

 こういった場所は閉鎖空間であり、完成後は公道が通ることもあるが、工事の最中は私有地の扱いを受ける。すなわち、道路法・道路交通法・道路運送車両法の適用を受けないわけだ。だから、運転に免許もいらなければ車検もない。工場の機械と同じような扱いを受けることになる。とはいえ、あれだけの大きな機械だから無法状態でよいということにはならない。現場にもよるが、オペレーターは基本的に大型免許を所持しており、メンテナンスは頻繁に行われている。土木・建設現場だけに、やはり「安全第一」なのだ。

 では、公道を走れない「ダンプトラック」は、いったいどうやって現場に運んでいるのであろうか。新幹線車両でも許可をとれば陸送できるのだから、夜中にこそ〜っと運んでいそうに思われがちだが、じつはそういうわけではない。工場や倉庫から部品の状態で現場まで運搬し、そこで専門家が組み立てているのだ。とくに、荷台部分は大きいので分割して運び、現場で溶接しているのだという。工事が終わればその逆で、現場で分解して運び出す。

 ダンプトラックがスゴイのは、すでに自動運転・管制制御などの最新技術が、実用化といえる段階に達していることだ。2024年問題の後押しもあったのだろうが、道路交通法などの適用外で使用環境が制限されているために、最新技術の導入環境が整いやすかったともいえよう。SFの世界ではないが、これからはこういった現場からロボット技術などが、発展・実現してくることになるのかもしれない。


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