トラック自体が通信端末になる日も遠くない!?
注目すべきは、到着時間予測の正確さであろう。この機能は多くのナビゲーションシステムに付いているが、その精度はまちまちだ。到着時間予測は、距離と渋滞状況がわかればおおよその見当はつくものの、運行中に変化する渋滞状況について予測するのは難しい。
直近の渋滞状況については、VICSやATISなどの交通情報提供サービスから入手ができる。カーメーカーのなかには、これらに加えて走行中の車両から得た渋滞情報を加味するシステムもある。しかし、目的地への到着時間を予測するためには、現在の渋滞状況がその後どのように変化するのかということを分析できなければならない。同社はナビゲーションソフトで培ったルート検索技術を活用し、それを可能にしたのである。
結果、訪問先の到着希望時間や交通状況の予測をもとに、最大100件の訪問先の順番とルートの最適化が可能になった。さらに、作成した訪問ルートはドライバーのスマートフォンに送付することができ、訪問スケジュールの確認やルート案内を行うことが可能になったのである。
ルートを決める際には、各種の規制も加味することができる。速度・一方通行などの道路規制やリアルタイムの工事・通行規制情報はもちろんのこと、トラック特有の重量・車蝠・車高・危険物などの規制についても、事前に設定することで対応が可能だ。また、降雨・降雪などといった気象情報の表示も可能だ。
これらの情報は営業所などの運行管理や営業支援といった部門にあるパソコンと情報を共有することができるので、労務管理などの省力化にもつながってくる。同時に、集積した各車両の運行状況を分析すれば、ドライバーの労働状況を可視化することが可能になるから、車両や人員の配置を最適化して業務効率を向上することができるのだ。このように、運輸業界にもICT・IoT化が急速に浸透している。トラック自体がスマホのような通信端末になる日も、そう遠くないのかもしれない。