メリットはあれどそう簡単には進まない! トラックやバスのEV化に立ちはだかるいくつもの壁 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■自動車のEV化が進むが日本国内で販売されている量産型電動トラックは小型ばかり

■現状では蓄電技術・製造コスト・充電時間などの問題で大型トラックのEVシフトはスムースに進んでいない

■大型トラック、バスの電動化を進めるための条件について解説

国内で販売されている電動トラックはいずれも小型

 欧州では、自動車の電動化に熱心である。2022年10月の欧州会議で、2035年には乗用車・小型商用車のEV義務化を決めたくらいだ。しかし、その後に協議を重ねて一部の環境にいい合成燃料を使う燃料車は容認する姿勢を示し、ややトーンダウンしたのではないかといわれている。EV化の背景はいろいろと憶測を呼んでいるが、環境問題(地球温暖化)が大きな理由であることは間違いない。

 確かに、EV化は正しい選択である。なぜならば、エネルギーの変換効率が高いからだ。化石燃料であるガソリンは約30%、軽油でも40%程度といわれているが、電気モーターは80~90%程度もある。しかし、現状では蓄電技術(一充電の航続距離)・製造コスト・充電時間などといった問題があり、スムースに移行することができていない。これは電動トラック・電動バスといった、大型の輸送用車両ではなおさらのことだ。

 現在、国内で販売されている量産型の電動トラックはいくつかあるが、三菱ふそうトラック・バスの「eキャンター」、日野自動車の「デュトロ Z EV」、いすゞ自動車の「エルフEV」がおもなところで、いずれも小型トラックである。大型トラックで実用化に漕ぎつけているのは、おもにダイムラートラックやテスラであり、いずれも海外市場に投入されている。

 ダイムラートラックは、2023年10月に「フレートライナーeM2」をアメリカ市場で販売開始した。一充電の航続距離は290km。近々発売するといわれている「eアクトロス600」は、同距離を500km程度にまで伸ばすことに成功したそうだ。テスラの「セミ」は、トラクタである。こちらは2022年12月からアメリカで納車が開始されており、一充電の航続距離は800kmに及ぶ。これに対して日野自動車も2024年後半ごろ、米市場に電動大型トラックを投入する計画だという。


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