「毒」は「毒物及び劇物取締法」によって規定されている
「毒」は「毒物」「劇物」のことで、「毒物及び劇物取締法」によって規定されている。基準によって3つ(毒物・劇物・特定毒物)にわかれているが、多くが化学物質なので個別に判断されており、基準に適合しない場合がある。そのため、厚生労働省から発表されるそれぞれの一覧で確認が必要だ。
・毒物
法定毒物:黄燐・シアン化水素・シアン化ナトリウム・水銀・ニコチン・砒素・硫化燐など
・政令で指定された毒物
亜硝酸ブチル・アリルアルコール・塩化ベンゼンスルホニル・クロトンアルデヒド・無機シアン化合物・水銀化合物・硫化水素など
・劇物
法定劇物
アンモニア・塩化水素・過酸化水素・過酸化ナトリウム・カリウム・クレゾール・クロロホルム・シアン化ナトリウム・ジメチル硫酸・臭素・硝酸・水酸化カリウム・水酸化ナトリウム・ニトロベンゼン・二硫化炭素・ホルムアルデヒドなど
政令で指定された劇物
亜塩素酸ナトリウム及びこれを含有する製剤・亜硝酸塩類・亜硝酸メチル及びこれを含有する製剤・アンチモン化合物及びこれを含有する製剤・アンモニアを含有する製剤・塩化水素を含有する製剤・塩素・過酸化水素を含有する製剤・過酸化ナトリウムを含有する製剤・クレゾールを含有する製剤など
・特定毒物
法定特定毒物
オクタメチルピロホスホルアミド・テトラエチルピロホスフエイト・モノフルオール酢酸など
政令で指定されている特定毒物
四アルキル鉛を含有する製剤・ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイトを含有する製剤・リン化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤など
毒劇物も容器に入れて運んだりタンクローリーを使用したりするが、法律が異なるので危険物のような「運搬」「移送」の違いはない。ただ、毒劇物の種類・状態・量などによっては「毒物劇物取扱責任者」を設置し、事業所所在地の都道府県に届け出る必要がある。危険物と同様に、容器やタンクローリーの車体には、積載物の名前や量を掲示する必要がある。さらに、搭載している毒劇物に合わせた防護用具も備えておかなくてはならないのだ。
危険物や毒劇物を積んだ車両は、通行規制を受ける場所がある。それは海底トンネルや長いトンネルで、それらの入り口までには通行禁止標識が掲げられている。これは、万一の際に大きな被害が出ないようにする措置だ。とは言うものの、それぞれ法律で厳格に取り扱い・輸送に関する規定が設けられており、トラックやタンクローリーはそれを遵守して日々輸送に従事している。普通に走行しているぶんには、ほかのトラックなどと何ら変わることはないのである。