「危」や「毒」を掲げてるトラックって何か近寄りがたい! いったい何を運んでる? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■「危」や「毒」と書かれたトラックやタンクローリーを見かけることがある

■これらは法律で定められる危険物や毒物・劇物を運んでいる

■それぞれ具体的に何が含まれるのかを詳しく解説する

「危」は消防法で定められる危険物を運んでいる

 街なかで見かけるトラックやタンクローリーのなかに、「危」や「毒」と書かれた標識を掲げた車両が走っていることがある。その字から考えれば「危険性の高いもの」「毒のあるもの」を運んでいるということは想像に難くない。しかし、具体的にどのようなものを積んでいるのか、理解している人はそれほど多くはないだろう。

「危」は「危険物」を指しているのだが、この場合は消防法に基づく政令などによって定められたものに限られる。広い意味では爆発物・化学薬品・猛獣なども入るのだろうが、消防法では火災の原因になりかねないものが対象で、大きくは6種類に分けられている。

1類:酸化性固体
塩素酸バリウム・塩素酸カルシウム・塩素酸ナトリウム・過塩素酸アンモニウム・過酸化マグネシウム・硝酸銀・過マンガン酸アンモニウム・ペルオキソ二硫酸塩類など

2類:可燃性固体
赤リン・硫黄・鉄粉・マグネシウム・ゴムのり・ラッカーパテなど

3類:自然発火性物質及び禁水性物質
カリウム・ナトリウム・黄リン・カルシウム・バリウム・水素化ナトリウムなど

4類:引火性液体

・特殊引火物
ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレンなど

・第1石油類
アセトン・ガソリン・ベンゼン・トルエン・臭化エチル・メチルエチルケトン・トリエチルアミン・エチレンイミン・アセトニトリルなど

・アルコール類
メチルアルコール・エチルアルコール・プロピルアルコールなど

・第2石油類
灯油・軽油・酢酸・キシレン・クロロベンゼン・テレビン油・プロピオン酸など

・第3石油類
重油・クレオソート油・クレゾール・ニトロベンゼン・グリセリン・エチレングリコール・2サイクルエンジンオイルなど

・第4石油類
潤滑油(ギヤー油、シリンダー油、タービン油)・リン酸トリクレジルなど

・動植物油類
椰子油・アマニ油など

5類:自己反応性物質
有機過酸化物・ニトロ化合物・ジアゾ化合物・ヒドロキシルアミン・金属のアジ化物・硝酸グアニジンなど

6類:酸化性液体
過塩素酸・過酸化水素・硝酸・ハロゲン間化合物

 これらを扱うためには、対応する「危険物取扱者」資格が必要だ。

 危険物にはそれぞれ指定数量があり、それを超えて輸送するときには必要な消防設備を搭載し、「危」のマークをつけなければならない。輸送に関しても細かく規定されており、「運搬」と「移送」という2種類の定義(消防法)が示されているのだ。

 前者は危険物を容器に入れて運ぶこと。いい換えるなら、容器ごと載せたり降ろしたりといったことが行なえる状態のことを指している。ドラム缶に入れて(容器には細かな規定がある)運ぶなどといった場合がそれだ。後者は、移動貯蔵タンク(タンクローリー)を使用して危険物輸送することで、該当する「危険物取扱者」が同乗(運転者が有資格者であれば運転者1名でも可)することが義務付けられている。

 どのような危険物をどれくらい積んでいるかなどといったことは、「運搬」であれば容器ごとに、「移送」であればタンクローリーの車体に掲示する。危険物によっては混載が禁止されているものがあり、掲示があるとそういった間違いを防ぐことができるわけだ。


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