鉄板むき出しの内装さえも魅力
そして現代のようなオシャレさがなく、無骨で野暮ったいデザインも大きな魅力だ、と話してくれた。
「昭和風の飾り方をするのなら、やっぱり昭和のトラックじゃないと似合わないので。小さな窓と複雑なプレスラインや凹凸がついたドアのデザインも、現行車両にはない大きな魅力ですね。折れそうなシフトレバーやシンプルなメーターパネル、そして鉄板むき出しの内装でさえも愛おしいです」。
ここまでの感情をもつ人に所有されている旧式トラックは、さぞかし幸せだろう。しかし、悲しいかな流行で旧式トラックを所有しているという人も少なくない。そのような人たちは、クルマの飾り方でだいたい判断できるという。
「昭和や平成初期のトラックが流行っていますからね。だからいろんな人がオーナーになっているのですが、その人の本気度合いや本物具合いは、クルマを見たらわかります。昭和のトラックに平成後期の飾りをつけている人が意外にも多いのですが、そういう人たちは間違いなくニワカ。本気で好きな人たちには、笑われていますよ。まぁ、そういう人たちは長続きしないので気にならないのですが。ただ、そういう人は知識も愛着もないからメンテナンスもおろそかだし、貴重な旧式トラックをただ傷めてしまっているので悲しいですね。そんな新しい飾り方をするなら、いまのトラックでやれよって思いますもん」。
なかなか手厳しいご意見ではあるが、それも好きな人からすれば切実な願いなのだろう。
もちろん趣味の世界である以上、好きになるのは個人の自由である。知識がなくても旧車を購入しても構わないし、玄人に笑われてしまうようなカスタムを施したとしても、悪ではない。ただその世界に足を踏み入れる以上は、より深く魅力を感じ取り、好きだという思いを養ってほしい。
本気の人たちの足を引っ張ってしまうようなニワカで終わることなく、流行り廃りに左右されることなく、自身の生き方を貫く。それが、趣味の世界を生き抜くなかでなによりも大切なのだと思う。