大型トラックが通行するからだけじゃない! いま日本の道路が「荒れて」いる目から鱗な要因 (2/2ページ)

気候変動や整備不足なども関係している

 このところの気候変動で路面温度が上昇しているのも、道路の損傷が進んでしまう原因のひとつだ。路面が太陽光線で熱せられると、アスファルトは硬度を低下させてしまう。それでもアスファルトに含まれる骨材(砕石やその粉末など)の量や質によって強度は大きく変わる。骨材がほとんど入っていないアスファルトは、真夏の日射で柔らかくなり、タール状に溶けて靴底などに付着してしまうことがある。

 小石が入っていることは見てもわかるが、実際にはタールはさらに細かい粉状の石が混ぜられており、これがアスファルトの強度を高めている。だが、これは表面のアスファルト層だけの問題で、実際には下層にあるコンクリート層や砕石の量や質、締め固めぶりなどで強度は大きく変わってくる。

 アスファルト道路の構造にはいろいろ種類があるが、表層の舗装だけでなく、その下の路盤、路床といった構造で支えられている。舗装といわれるのは路盤以上の部分だが、実際には全部で1m近い厚さとなるのだ。その各層の厚さなどにも基準があるのだが、昨今は工期短縮とコストダウンで路面品質が低下している印象もある。

 高速道路は総延長が伸びて便利になった反面、路面の整備量も多くなり、修復が追い付いていないカ所も見受けられる。有料の高速道路ですらそんな状況なのだから、一般道はさらに酷い状況になっているのも当然だ。

 そもそも自動車税や重量税、ガソリン税(軽油引き取り税も同様)は道路整備に使われるための目的税だったものが、一般財源化(普通税)されてしまったことも、道路整備状態を劣化させてしまった原因のひとつではないだろうか。ある道路補修関連の社団法人の調べでは、道路に関する建設および維持の経費(公共投資)は平成7年をピークに年々減少傾向にある。

 こんな状態が続くと、トラックも走行中に進路を乱されて衝突事故を起こすケースも出てくるのではないだろうか。それくらい、路面には穴や轍が酷い箇所が散見される。

 米国のフリーウェイは無料の高速道路だけれど、道路に穴が空いているのも珍しくない。さすがに日本の高速道路はそこまで酷くはないが、綻びは見える。一般道は穴や轍が目立つ。低扁平タイヤとインチアップしたホイールを履いているオーナーは、うかつに穴にホイールをヒットさせないように、十分に余裕をもって走ることだ。


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