この記事をまとめると
■乗用車は油圧式ブレーキを採用している
■中型以上のトラックにはエアブレーキが搭載される
■エアブレーキの仕組みについて詳しく解説する
空気圧を利用してブレーキをかける
クルマのブレーキは、ほかのどの装備よりも大切だ。エンジンや変速機、駆動系が故障しても「走れない」という事態に陥るだけ(ごく稀に暴走する、ということもあり得なくはないが……)で済むが、ブレーキが故障すればぶつかるまで止まらない)という、恐怖の状態に陥るのだ。
そのため、乗用車では油圧式ブレーキを採用しているだけでなく、フェードに強いディスクブレーキを採用し、ペダルの踏力を増幅するブースター、ホイールロックを防止するABS、スピンしたりコントロール不能になることを抑えるESC(横滑り防止装置)など、ブレーキ装置には多彩な機能が盛り込まれている。
最近では不整地での空転を防ぐデフロック的な使われ方までしているブレーキだが、トラックだってブレーキの使い方の複雑ぶりは負けていない。乗用車や小型トラックの油圧式ブレーキは繊細な操作を反映しやすく、反応も鋭いから、比較的小さなボディのクルマには向いている。一方、中型トラック以上の車両にエア式のブレーキ(ブレーキペダルを操作した時にプシュッと開放音が鳴る)が採用されているのは、圧縮空気のほうが大きな力をたくさんの方向に供給しやすいからだ。
また、大型や中型トラックなどのなかにはブレーキペダルからサスペンションまでは空気圧を使い、ホイール内側付近で油圧に変換して作動する空気&油圧複合式のブレーキを採用しているところ(日野自動車など)もある。
ちなみに完全なエアブレーキは、圧縮空気の特性から微妙な操作がしづらく、操作に慣れるまではスムースに走らせることが難しいことが知られている。