トレーラーの構造からエアブレーキが採用される
大型トラックでもトレーラーの場合、トラクター(動力のある車両部分)とトレーラー部の断続を即座にできるようにするとなると、まず油圧式では難しい(ジョイント部分の工夫でできない訳ではない)という構造上の問題もある。
たくさんの車軸にブレーキを装備し、それらを制御するための圧力を伝達するものとしては、油圧ではなく空気のほうが都合がいいのだ。それに油圧の場合、定期的にブレーキフルードの交換が必要になり、また劣化して水分を含むとベーパーロック(ブレーキフルード内の水分が沸騰して、ブレーキの圧力を吸収してしまう)を起こしやすくなるから、ブレーキまわりで高熱を発生しやすいトラックには、やや不利なのである。
トラックのブレーキ装置にもABSはもちろん、ESCの採用も進んでいる。さらにトラックならではの制御として、トレーラーの急ブレーキ時にはリヤブレーキの作動を早めることでジャックナイフ(車体が折れ曲がって、トレーラーがトラクターを押してコントロール不能になってしまう状態)を防止する機能も盛り込まれているシステムもある。
そんなエアブレーキでもブレーキを作動している状態がデフォルトであり、エア圧でブレーキを解除するように動くタイプもある。これはフルエア式と呼ばれ、大型トラックやトレーラーなどに採用されている。エアブレーキの場合、パーキングブレーキもエア圧で、ブレーキを解除しながら走っている状態となっているのだ。