デコトラ界に大きな影響を与えた1台とは?
日産のE20キャラバンを見事に飾り立てた「デコバン」も、デコトラ界に大きな影響を与えた1台。1970年代に生み出された同車のインパクトは凄まじく、ワンボックスを飾るというスタイルをデコトラ界に定着させたのだ。やがて1980年代にはいるとE23キャラバンの「らいらっく」や「サスケ丸」という過激なデコバンが、あとに続いた。
そして、1970年代には三菱ジープを飾った「デコジープ」も大きな話題となった。幌には本物の(聖徳太子柄の)一万円札を飾るという独創的なスタイルで、見る者を驚かせたのである。
1980年代では、自動車ではなくトラクターを飾った者までもが現れた。飾りも本格的であったのだが、実際にトラクターとして活躍していたかどうかは不明である。兎にも角にも、その独自のスタイルで注目を集めたのだ。
このように振り返ってみると、個性的な車両のほとんどが1970年代と1980年代であったことに気づかされる。その時代は個性が尊重されていたため、独自の路線を目指した猛者が多かったのだろう。
デコトラ本来の持ち味とは、スバリ個性であった。それが1990年代以降では流行(なんらかのスタイル)というものが芽生えてしまったことで、似通った飾りのデコトラが増えてしまったのである。それと同時に、デコトラブームが大きな盛り上がりを見せることはなくなったと感じるのは、おそらく筆者だけではないだろう。
個性がない改造車の世界は、当然のごとく発展しない。右を見ても左を見ても同じような車両しかいなくなってしまえば、誰も関心など示さなくなるだろう。そんなデコトラ界を再び活性化させるべく、個性が持つ重要性をいま一度再確認したい。そして、当時のユニークな作品を眺めながら、デコトラ界がより盛り上がってくれることを祈る次第である。