軽より小さいマイクロモビリティは日本で明らかに失敗! 原因は「日本には軽自動車があるから要らない」じゃなかった (2/2ページ)

唯一の超小型モビリティであるトヨタC+podも間もなく終了

 ところがこれまで型式指定を取得したのはトヨタC+pod(シーポッド)だけ。そのC+podも、今年の夏に生産を終了するという。せっかく生まれたカテゴリーなのに、一般ユーザーが買えるモデルがゼロになってしまうわけだ。

 昨年11月までのC+podの約3年間の累計販売台数は、約2000台だった。売れなかった理由は、軽自動車の存在もあるけれど、超小型モビリティをその軽自動車をベースに考えてしまったことが大きい。

 そのため、型式指定を取得するには軽自動車ほどのレベルではないものの、衝突試験をパスしなければならない。しかもボディサイズはミニカー(原付3/4輪)と同じ全長2.5m、全幅1.3m以下と余裕がない。C+podが166万5000円からと高価になったのは、この成り立ちが大きい。

 では海外はどうか。日本が制度設計の参考にもした欧州では、L6eとL7eというふたつのカテゴリーがあるが、大事なのはL1e〜L5eは2輪車や3輪車であり、ふたつのカテゴリーはバイクの4輪版という位置付けであることだ。代表格といえるシトロエン・アミの販売台数は、C+pod とほぼ同じ期間で4.3万台と、約20倍にもなる。

 左右のドアを共用とするなどしてコストダウンを図りつつ。ポップに仕立てたデザインの力は大きいし、家電量販店での取り扱い、カーシェアリングでの展開など、積極的な姿勢のおかげもあるけれど、日本よりおおらかな制度ゆえに実現した7990ユーロからという低価格も効いているはずだ。

 残念ながらアミは日本の超小型モビリティの型式指定を取得することはできないし、逆に日本のカテゴリーが軽自動車の小型版である限り、メーカーがどんなに頑張っても、アミのような安くて楽しい乗り物は生まれてこないだろう。おまけに超小型モビリティのルールが改正される気配もない。

 電動キックボードのために生まれたと認識している人が多い特定小型原付は、実際は3輪や4輪も認められていて、コンセプトビークルがいくつか出展されている。これが日本では軽自動車より小さな乗り物というカテゴリーを担うことになりそうだ。

 いまさらこんなことをいってもしかたないけれど、日本の超小型モビリティはスタート地点を誤り、その後もボタンのかけ違いが続いていまに至っているというのが、このカテゴリーを見続けてきた人間の正直な気持ちだ。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

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2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
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ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
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