型式指定認証不正で新車販売現場は混乱する……と思ったらそうでもない! コロナ禍以降の「長納期慣れ」で消費者は意外にも冷静だった (2/2ページ)

新車販売現場では目立ったトラブルは起きないと予測されている

 あるトヨタ系ディーラーのセールスマンは、「問題発覚後、メーカーからの説明は何もないですね。生産、出荷、そして新規受注停止になったことぐらいしか確認できません。来月納車予定のヤリスクロスがあったのですが、いつ納車できるのか白紙状態というのが現状で困っております」とのこと。

 ダイハツが問題発覚で出荷停止になったときには、とくに軽自動車では「型式申請する際の試験に問題があったのでクルマには問題はない」とする消費者も多かった。そして、届け出済み未使用軽中古車が市場に大量に流通していたこともあり、「新車で買えないのなら中古車で……」という購買行動が目立っていた。当時、ダイハツ系ディーラーへ行っても「新車は発注できませんから、展示してある届け出済み未使用軽中古車はいかがですか」と勧められたことがあった。

 ヤリスクロスでも同じような動きがあるのかと事情通に聞くと、「残念ながらヤリスクロスやカローラ(アクシオ&フィールダー)は、ダイハツの軽自動車ほど中古車市場に潤沢に未使用や高年式な中古車が流通していません。新車が買えないなら中古車へという購買行動が、ダイハツの軽自動車みたいに広範に起きたとしても、市場は対応できないでしょう」と話してくれた。

 出荷再開時期も見えないなかでは、当該車種の納車を待っているお客は、先行きがまったく見えないなかセールスマンが丁寧にフォロー(現状では提供できる情報はないが)しながら、しばらくは様子も見守ることが得策といえよう。トヨタの出荷停止対象車種に限って見れば、「それでは他メーカー車へ」といった動きも取りにくい、つまり他メーカーに競合する車種がないのが実状である。

 現状のトヨタ車では納期改善が進んでいるものの、まだまだ不安定な状況ともいえるので、 「来月下取り予定車の車検が切れる」といった切羽詰まった人への新車販売を控えるセールスマンも多く、それなりに計画的な受注活動を行っているとも聞いている。

 ただ、すでにかなり長い期間納車を待っていて、今回の出荷停止でさらに納車が延びるケースでは、乗っている下取り予定車の車検有効期限がきてしまうケースは十分想定できる。繰り返すが出荷再開までの先行きは不透明なのが現状。ケースバイケースで個別に対応してもらうしかないだろう。

 メディアの一部は「不安なので当該車の販売を手控える」といったコメントを語る中古車販売業者をわざわざ探し、そのリポートを流して世間に対し不安を煽っているようにも見えるが、消費者サイドはすでにダイハツの問題を経ていることもあり、「試験実施過程に問題があっただけでクルマに問題があるわけではない」と冷静に受け止めている。新車販売現場では目立ったトラブルは起きないものといまのところは見ているようであった。

 ただ、もちろん出荷再開まで長期間を要することになれば、メーカーからバックオーダーのキャンセル(つまり受注撤回)ということも人気車なので起きかねないので、とにかく事態の行方に注目していくことは必要だろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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