この記事をまとめると
■洗車グッズには鉄板アイテムとして「セーム革」というのが存在する
■鹿の皮を使ったもので元々はメガネ拭きなどとして重宝されていた
■最近では合成繊維のマイクロファイバークロスなどが広く普及している
みんなが使う「セーム革」ってそもそもなに?
昭和のカーマニアなら必ず使っていた洗車用品のひとつが、天然セーム革だった。当時、すでに合成セーム革の代表格として、三菱鉛筆(株)が販売していた、今では製造中止となりプレミア価格(!?)がついているオランダ製の「ユニセーム」もあったのだが、カーマニアの間では、ホンモノ感ある天然セーム革が人気だった。筆者もかつて武蔵ホルトが販売していた天然セーム革を「ユニセーム」とともに愛用していたものだ。
その”セーム”とはなんぞや、だが、オランダ語の「zeemsleer(ゼームスレール)」=セーム革に由来している。オランダ語のゼームがセームになったわけだ。昭和の時代からつい最近まで、カーマニア、洗車マニアに愛されてきた三菱鉛筆、後にユニ工業の合成セーム革である「ユニセーム」がオランダ製であることも、その証明ではないだろうか。
元々、セーム革は天然のもので、天然セーム革は時計、宝飾品、眼鏡、ハサミなどを手入れするためにも使われていた。主に鹿の皮をなめしたもので、形は天然皮革だけに四角形ではないものもあるとはいえ、柔らかく、微細な穴が開いているため、塗装面に優しく、吸水性がそこそこ高く、水洗いしても、乾いても、硬くならない性質を持っている。つまり、天然皮革だけに高級品で、今でも黒塗りハイヤーの運転手にも愛用され続けているはずの逸品なのである。※現在はあまり需要がないので、1000円程度でも売られている。