クロカンSUVがもつもうひとつのシフトレバー! 副変速機って何? トランスファーと何が違う? (2/2ページ)

路面状況に応じてモード切り替えをするのも醍醐味

 パートタイム4WD機構において2WDモードが用意されている理由は、本格的なクロカン4WDになるほど市街地の舗装路を4WDモードで走ることが難しいからだ。なぜなら、ランドクルーザー70のようなクロカン4WDの場合、4WDを選ぶと直結4WDといって前後の回転差が同じになってしまう。まっすぐ走っているぶんには問題ないが、Uターンのように大きくハンドルを切るシチュエーションでは直結4WDはブレーキがかかったような状態になり、異音が発生したり、エンジンストップしてしまったりする。

 これは「タイトコーナーブレーキング現象」と呼ばれるが、この乗りづらさを解決するために、また舗装路での燃費性能を少しでもよくするために、クロカン4WDでは2WDに切り替えられるようになっている。

 スタイリッシュなピックアップトラックとして話題の三菱トライトンの場合は、タイトコーナーブレーキング現象を起こさないようにセンターデフが備わり、舗装路でも4WDを選べるようになっている。そんなトライトンでもフルタイム4WDモードとは別に直結4WDモードを用意しているのは、本当に滑りやすい路面では前後のタイヤ回転を同じにできる直結4WDのほうが駆動力を伝えることができるからだ。

 個人的なエピソードとして、先日トライトンでオフロードコースを走ったときの経験をお伝えしよう。

 オフロード走行なので2WDという選択はなく、まずはセンターデフを活かしたフルタイム4WDモードで走行をはじめた。その状態でも滑りやすい坂道などは問題なく走れたが、モーグルと呼ばれるデコボコしたシチュエーションになると左右のタイヤが浮いてしまい、フルタイム4WDではうまく進めない。そこで、4WDロックという直結モードに切り替えた。また、より滑りやすい岩場ではゆっくりと強い駆動力がほしい。このときはローギヤに切り替え、難なく走ることができた。

 このように、走るシチュエーションのハードさに応じて、駆動方式の切り替えや、副変速機によるハイ/ローの選択を適切にするのはクロカン4WDオーナーの楽しみであろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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