この記事をまとめると
■雨の日は靴底の水分をウエスなどで拭き取ってから運転するほうが安全だ
■レーシングドライバーも雨の日のレース前は靴裏を拭いてからマシンに乗り込む
■ペダルがすり減っている際は注意するほか踏む位置も常日頃から気をつけるのが理想だ
汚れた靴底は運転前に綺麗にすべし
今年も鬱陶しい梅雨の季節がやってきた。
ちなみに、路面が滑りやすくなり、視界も悪くなる雨天時は、晴天時に比べ死傷事故が4倍、施設接触事故が7倍になるというデータもある(首都高速道路の調べ)。
こうした雨天の事故には、あまりデータには残っていないが、濡れた靴底が滑って、ブレーキペダルを踏み外した、といった例もあるようだ。
そういう意味で、雨の日は靴底の水分をウエスなどで拭き取ってから、運転するのが理想的。
1965年、当時の船橋サーキットで開催された全日本カークラブチャンピオンレース(CCCレース)で、雨のなか、生沢徹との激闘を制して優勝した浮谷東次郞(当時のトヨタのワークスドライバー)は、革製だったレーシングシューズが濡れることで、革が硬くなりアクセル、ブレーキの感触が微妙に変わるのを嫌って、裸足で表彰台の中央に立ち、そのワンシーンが伝説にもなったが、彼に限らずトップレーサーたちは、雨の日に靴底を拭いてからマシンに乗るのは、半ば常識。
先日のF1カナダGP(2024年6月9日・雨)でも、ルイス・ハミルトンがマシンに乗り込むとき、靴底を拭いているシーンがテレビ中継に映っていた。
現実問題、一般ユーザーが雨天時にクルマに乗るときに、毎回靴底をウエスで拭くのは難しいかもしれないが、革靴など、溝がない平らな靴底の履き物は避けたいところ。溝がなかったり溝がすり減っている靴はスリックタイヤと同じで、ハイドロプレーニング現象、つまり靴底とペダルの間に水膜ができて、滑りやすくなるので要注意。
雨の日は、できるだけ滑りにくい素材、形状の靴を選ぶように気を配ってほしい。
また、同様の理由で、ペダルゴムの表面がすり減っていないかもときどきチェックを。減っているようなら高価なものではないので、ツルツルになる前に交換を。
ゴムではなく、アルミやステンレス製ペダルカバーを装着しているクルマも、滑り止め加工が不十分な場合、即座に交換してしまおう。
もうひとつ、ペダルを踏む位置も要チェック。ペダルの端を踏むクセがある人は、滑ったときに踏み外しやすくなるので、ペダルの中央を拇指球で踏むよう意識し直してほしい。
これに関連して、砂地や土埃が多い道を歩いてきたときも、クルマに乗る前、両足で靴底を叩いて、しっかり砂を落としてから乗車したい。
砂が靴底についていれば、ペダルが滑りやすくなるし、フロアマットだって砂で汚れて、いいことはない。ドアを開け、先にお尻だけシートに腰掛け、左右の靴で拍手するように叩いて、砂を落とす。このひと手間は惜しまないようにしよう。
最後に濡れた靴、濡れた傘、濡れた衣服は、車内の湿気の原因になり、窓を曇らせる要素にもなるので、できるだけ衣服や傘、靴の水気は払ってクルマに乗り込み、エアコンをONにして車内を除湿することも忘れずに。