ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身 (2/2ページ)

じつはパサートにも設定が計画されていたGTI

 その他のGTIとしてはゴルフの弟分「ポロ」、末弟の「ルポ」、そのあとを受け継いだ「up!」にもGTIを設定。コンセプトモデルで終わったが、初代のパサートにも企画されていた。ゴルフの車体の肥大化にともない、かつてのゴルフの位置づけとなるハッチバックとして登場したのがポロで、GTIが登場したのは1994年デビューの3代目から。ゴルフよりもひとまわり小さい1.6リッター直4DOHCを搭載し、ATの設定はなく、5速MTのみと操る楽しさを味わえるモデルであった。

 4代目ポロGTIはスタンダードモデルから4年遅れた2005年に設定され、4代目のゴルフGTIの1.8リッターターボを搭載。車重はゴルフGTIよりも約200kg軽かったことから、兄貴分を上まわるじゃじゃ馬っぷりを見せた。5代目は前期が兄貴分のゴルフのエンジンを搭載した1.4リッターのツインチャージャーを搭載したが、後期型はパサート用の1.8リッターターボへ置き換えられている。このモデルからAT(DSG)専用となったが、後期型で6速MTが復活している。

 現行モデルとなる6代目は2018年に登場。GTIは兄貴分のゴルフと同じ2リッター直4ターボにアップデート。スペックはデチューンされているが、コンパクトなボディと相まってゴルフに匹敵するパフォーマンス(207馬力)を見せる。

 4代目、5代目はWRC(世界ラリー選手権)のベース車としても活躍した。

専用ボディが与えられ、ポロの1.6リッターを搭載した傑作ルポGTI

 ルポとup!はVWの底辺を支えるAセグメントのハッチバックだ。

 1998年登場のルポはポロよりも全長が190mm、全幅が20mmほど短かった。アメリカ政府が提唱し、100km走るのに3リッターしか燃料を使わない超低燃費カーを最新の技術で実現した「ルポTDI」が当時の話題をさらったが、GTIではそのコンパクトなボディ(ポロよりもさらに100kg強軽い)に3代目ポロGTIの1.6リッター直4DOHC(125馬力)を搭載したのだから、その走りは乗らずして楽しいのがわかる。

 ボディも軽量化が図られ、リヤフェンダーは大きなタイヤを収めるために専用品となっており、かなりこだわりが詰まったモデルだった。MTも6速でエンジンのパワーを使い切る楽しさに溢れたモデルだった。

 その後継と呼ぶにふさわしいup!は2012年に国内デビュー。コンパクトなボディに大人4人が無理なく乗れる高効率パッケージと軽量化と剛性を高次元で融合したパッケージが魅力だった。そのup!にGTIが登場したのは2018年。600台限定で日本に導入された。

 エンジンは通常モデルの1リッター直3エンジンに対して、GTIはそのターボ仕様で116馬力。出力もボディサイズも初代ゴルフとほぼ同じで、当時は初代ゴルフGTIの復活ともてはやされた。

 MTはルポ同様に6速MTだが、ルポのように俊敏ではなく、極めて扱いやすいバランスの取れたスポーティカーだったと記憶している。

「高性能で楽しくかつ実用性にも優れる」コンセプトはこれからも不変

 現在購入できるGTIはゴルフとポロのみだが、昨年のドイツのIAAモビリティでコンセプトカーとしてVWのEVブランドであるID.のGTIがお披露目された。いよいよGTIにもEV化の波が訪れようとしている。

 ただ、初代ゴルフGTIの「高性能かつ走る楽しさに溢れ、実用性にも優れる」というコンセプトは変わらず受け継がれていくに違いない。いつまでもクルマ好きの憧れのモデルだ。


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