タクシー運転士が「怖いおじさん」だったのは昔の話! それでも「マイナスイメージ」を抱かれ気味な理由とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■キャッシュレス化が進んだ現代のタクシーでは強盗事件こそ目立っていないが酔客とのトラブルはいまだ絶えない

■タクシー運転士は社会では必要以上に見下されている仕事のひとつであると感じる

■日本のタクシーは「安全な乗り物」となっているため不必要な偏見は排除して利用すべき

いまも続いているタクシー運転手と酔客のバトル

 クレジットカードをはじめ多種多様なキャッシュレス決済の普及により、タクシー運転士も多額の現金をもちながら乗務することはなくなったといわれている。そのため、景気浮揚とはほど遠く、国民の多くが日々生活するのに精いっぱいともいわれているなかであっても、運転士から現金を奪うといった、ガチでのタクシー強盗事件というのはあまり目立ってはいない。

 ただし、タクシー料金の踏み倒しも「強盗事件」に該当するのだが、こちらは酔客を中心に未遂も含めればそれほど減っているという印象はないようだ。

「酔った勢いで」、「酔っていたので覚えていない」、料金トラブルをはじめとしたタクシートラブルが報じられるときにはよく使われている言葉だ。酔っぱらいにまだまだ寛容な世の中とされているのが日本なのだが、ことタクシートラブルに関しては、「酔っぱらっていたので勘弁してあげて」みたいなメッセージにも筆者は感じてしまう。

 しかし、事情通に聞けば「人間は酔ったときほど本音が出るものです。酔ったときにタクシー運転士に高圧な態度をとったり、暴行を加えるということは、当事者が意識して生活していなくても潜在的にタクシー運転士という仕事を下に見ている証拠ともいえるのではないでしょうか」と語ってくれた。

「タクシー運転士の接客態度がなっていないことに問題がある」という指摘もある。新人運転士に多いのだが、「道を知らない」ということも利用者の不満を募らせてしまうこともあるだろう。しかし、筆者が日々タクシーを利用している限りは目に余るような、接客態度の悪い運転士にあたることはほとんどない。

 個人によって接客態度が悪いという認識レベルに差もあるのでなんともいえないところだが、タクシー運転士から見ても社会人としてどうなのかと思うほど、乗客から見下されたりすることもあると聞く。「所詮は人生のなかではほんの一瞬の出来事なので気にしないようにしている」とはある達観したタクシー運転士の話。

 先日、自宅最寄り駅からタクシーに乗って目的地を告げるといきなり、「わからないので道を教えてください」といわれた。顔なじみの運転士も多いので冗談でも言っているのかなと聞き流そうとしたら、さらに真顔でいわれた。住所ではなく自宅最寄りの比較的地元では有名な交差点名を告げたのだが、わからないといわれたのは初めてのことで驚いてしまった。

 タクシー業界としては、「場所がわからない時は知ったかぶりをせずに正直にお客に聞かないとトラブルを誘発する」とも指導していると聞いたことがあるので、役所などのわかりやすいランドマークを教えながら進んでもらった。海外ではすでに道を覚えることを放棄したかのように、いきなりグーグルマップなどで検索されたりするのはザラのこと。日本でもタクシーにカーナビがついているのは当たり前なのだが、カーナビを使おうとすると、「プロなのにカーナビ使うのか」とクレームをつけてくる乗客もいるので、「カーナビ使ってください」とする乗客以外は極力使わないようにしている運転士もいると聞いたことがある。

 タクシー運転士という仕事は社会では必要以上に見下される仕事のひとつともいわれている。もちろん、バブル経済のころやそれ以前のタクシーといえば「接客」ともいえない態度をとる運転士も多かった。深夜の長距離利用なのに現金で払おうとしたら、「なんだチケットじゃないのか」と舌打ちされたことも大昔に筆者は経験している。バブル経済のころには金額を入れない白紙チケットを受け取り、運転士が好きな金額(料金以上の高額)を入れていたのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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