トヨタの旧車としてはトップ3に入る人気を誇る
■エンジン以外も特別な構成で仕立てられている
TE27型レビン/トレノの外観の大きな特徴は、ボディカラーと後付けのオーバーフェンダーです。
ボディカラーは、レビンが先述のモスグリーン、正式には「インディアナポリスオリーブ」と、「モンテローザオレンジ」の2色で、トレノが「デイトナオリーブ」と「ヘイトアッシュベリーオレンジ」の2色という展開でした。
どちらも深い緑と明るいオレンジという2色構成ですが、名前が違うように、微妙な調色の差が込められたこだわりのカラーです。
そしてリベット留めの別体オーバーフェンダーはまさにレビン/トレノの象徴で、見た目だけのハッタリではなく、高性能なエンジンによる動力性能を受け止めるワイドなタイヤを装着するための装備です。
発売開始の1年後に「レビンJ/トレノJ」という弟分的なグレードが追加されましたが、こちらはリーズナブルな廉価版というモデルで、グリルや内装の印象は共通ですが、エンジンはOHVの「2T-B型」で、オーバーフェンダーは省かれています。
■レビン/トレノはどう違う?
TE27型のレビン/トレノは、基本的に兄弟車というか双子車という位置づけです。
その違いは主にフロントグリルとテールのデザインですが、フロントはグリル部分だけでなく、ボンネットと左右のフェンダーも含めてデザインの変更がされているようで、真横から見るとトレノはおでこがレビンより張り出した形状なのがわかるでしょう。そのため全長も15mmほど長くなっているようです。
ここからは筆者の推測が混じっていますが、まず先代のE10型系カローラの代にスポーティなラインアップとして、専用のクーペボディを与えられた「カローラ・スプリンター」が追加されました。
2代目のE20系となり、販売系列の分割という背景もあって、スプリンターがカローラから独立。
そしてホットモデルの「レビン/トレノ」が誕生することになるのですが、その経緯を考えると、スポーツ系の生い立ちであるスプリンター系の「トレノ」のほうが「レビン/トレノ」のメインストリームなのではないかと考えられます。
■レビン/トレノ名前の由来は?
最後に印象的な名前である「レビン/トレノ」の由来を紹介します。
双子車ということで、どちらも同じ文化圏の対になる言葉かと思っていましたが、「レビン(LEVIN)」のほうは英語で「雷光」「稲妻」という意味の名詞で、「トレノ(TRUENO)」はスペイン語で「雷鳴」という意味の名詞だそうです。
フロントフェンダー後部に付けられたバッジをよく見ると、その意匠が雷をモチーフにしたものだと気付けるでしょう。
軽量な車体と高性能なエンジンによるパフォーマンスは、当時の人に雷のような印象を与えた……のかもしれません。
TE27型レビン/トレノは、旧車好きの間でトヨタ車としては以前からトップ3に入る人気を誇っているモデルです。
そのため、近年の価格高騰の流れで市場価格がけっこうな値段に上がってしまっているようです。
とはいえ、軽く900kgを切るいいまの基準からすると驚異的な軽量さとまるでレーシングモデルのような素性のエンジンを搭載したこの「ニーナナ」のようなクルマは、ほかを探しても数えるほどでしょう。
機会があれば、ぜひ実車をその目で見て魅力を直接確認して欲しい車種のひとつです。