ハチロク乗りもGR86乗りもすれ違ったら敬礼必至! 偉大なるご先祖「TE27」のレビン&トレノが胸熱すぎるクルマだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■TE27型の初代カローラ・レビン/スプリンター・トレノを振り返る

■カローラ・レビン/スプリンター・トレノは大衆車に高性能エンジンを組み合わせたスポーツモデルとして誕生

■TE27型レビン/トレノはトヨタの旧車としてはトップ3に入る人気を誇っている

大衆車のスポーツモデルとして誕生

 クルマを運転していると街でいろんなクルマに出会うと思いますが、そのなかで信号待ちで居合わせたり、すれ違ったりしたときに「あのクルマの色、すごく似合ってるな〜」なんて思うことがあるでしょう。クルマには開発の際、あるいは発売の際にその車種を印象づけるイメージカラーというのを設定することが多くあります。「インプレッサといえば青だよね」とか「32GT-Rといえばダークグレーメタリックだよね」といった感じです。

 旧車といわれる昔のクルマにも、ある一定の車種と色が結びついている例があります。今回取り上げるトヨタの「カローラ・レビン/スプリンター・トレノ(TE27型)」もその代表的な例で、抹茶色を濃くしたようなモスグリーンがよく似合う車種です。

 ここではその「カローラ・レビン/スプリンター・トレノ(TE27型)」について、ちょっと掘り下げてみましょう。

■AE86レビン/トレノ直系の初代にあたるモデル

 例のとうふ屋の息子が峠で無双する走り屋マンガの主役車として脚光を浴びてブームが再燃したトヨタ「カローラ・レビン/スプリンター・トレノ(AE86型レビン/トレノ)」。

 そのAE86も1983年に発売され、年代的にもう40年以上経つことからすっかり旧車として扱われるようになりましたが、トヨタのレビン/トレノの系譜では4代目にあたります。

 そのレビン/トレノの系譜の初代となるのが、今回紹介するTE27型のレビン/トレノです。

 旧車好きの間では、レビン/トレノのサブネームよりも、型式の「TE27」の数字部分を日本語読みして「ニーナナ」と呼ばれています。

 ちなみにその型式名の由来ですが、「TE27」の頭の「T」は「2T-G」という「T型」系のエンジンを搭載していることを表し、2番目の「E」はカローラ(スプリンター)系の車種を表す文字で、「2」はカローラ系で2代目を表し、最後の「7」はボディタイプやグレードを表す分類の項目のようです。

 車種名の「Corolla」はラテン語で「花で作った冠」という意味の言葉で、最上位車種の「クラウン(Clown=王冠)」や「コロナ(Colona=太陽冠)」に続くカンムリシリーズの末弟という位置づけでした。

■大衆車のカローラに高性能・高出力エンジンを搭載したじゃじゃ馬

 TE27レビン/トレノの最大の特徴は、コンパクトな大衆車ベースのシャシーに、当時の中排気量で最高性能を誇る「2T-G型」1600cc・DOHCエンジンを搭載してしまったことです。

 TE27型レビン/トレノが発売された1972年は日本の経済が大きく成長していた時代の真っ只なかでした。

 かつて庶民にとって自動車は超贅沢品でしたが、経済の発展にともない徐々に一般の家庭にも安価な大衆車が普及していき、この時代になると中流階級の家庭は大衆車よりちょっと贅沢なクルマを購入できるようになっていました。

 そんな時代背景に合わせて、馴染みのある大衆車をベースに高性能エンジンを組み合わせた、手の届くスポーツモデルとしてTE27型レビン/トレノは誕生しました。

 当時の国産メーカーが意識していた欧州車でいうと、アルファロメオのジュリアあたりがお手本だったのではないかと思います。

■大衆車用の実用OHVエンジンを大胆にDOHC化した「2T-G」

 TE27型レビン/トレノに搭載されている「2T-G型」エンジンは、「2T型」という1588ccのOHV方式のエンジンをベースにして、ヤマハ製のDOHCヘッドを移植するという、当時ではかなりトリッキーな手法でつくられたエンジンです。

 OHV方式というのは、吸排気バルブの作動をプッシュロッドという棒で行う方式です。

 ピストンの上下動を回転に換えるクランクシャフトの横、つまりエンジンの下のほうにカムシャフトがあり、シリンダーヘッドに備えられているバルブを、シリンダーブロックの横に備えたプッシュロッドを介して作動させています。

 それに対してDOHC方式は、エンジン上部のシリンダーヘッドにバルブを作動させるカムシャフトが吸排気それぞれ一本ずつ配置されていて、クランクシャフトと専用のチェーンでつながり駆動されます。

 本来であれば、性能重視のエンジンはシリンダーブロックも含めてイチから新設計するのが理想ですが、初めてこの2T-G型エンジンを搭載することになるセリカ(1600GT)では、まだそこまで多くの需要が見込めなかったことから、それまでの資産を活かして低コストで高性能のエンジンを作り上げようとしたようです。

 ちなみにベースとなった「2T型」エンジンの出力は、ツインキャブレター仕様の「2T-B型」で105馬力/6000rpm。対して「2T-G型」は115馬力/6400rpmと、数字上では大きな差には感じないかもしれませんが、2基装着されたSOLEX製40φツインバレルキャブレターによる吸気音は、エンジンを掛けた瞬間から「これは違うぞ!」と思わせる魅力を有していました。

 兄貴分のセリカとともに周回レースからラリーまで幅広く出場し、855kg(レビンの重量。トレノは865kg)という軽量な車体と高出力なエンジンの組み合わせで、多くの輝かしい実績を残したようです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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