美味しい話はほとんどなし!
「けど、分割で払えるならオレみたいな収入が不安定なやつでもどうにかなるんじゃねーのかよ」
「分割といったって、自社ローンと呼ばれるものはたいてい12回とか24回とか回数が少ないものばかりじゃ。つまり、一度の返済額が高額になりがちってこと。君の原稿料だかバイト代で支払えるのは月々3000円とか4500円くらいじゃないのかね」
「キィィィー! バカにすんのもいい加減にしねーと、買ってきたグリフィスの排ガス吸わせるぞ!」
「いい加減に目を覚ましたらどうだ。グリフィスはいいクルマだし、最終のSE、ツヤ黒とかリセールバリューもあるじゃろう。だがな、初期費用がいくらとか、車検や保険だとか計算してみろ。エンジンかからなくなっても、その中古車屋が面倒見てくれんのか? 20年落ちの中古車に保証なんてあてにならんことくらいカメムシだって見当つけられるんじゃないかね」
「ガックシ……じゃあ、グリフィスあきらめる、というかオレみたいにローンに通りづらい社会的弱者はどうしたらいいのかね」
「そういう素直な態度が明るい未来を招くこと、よく覚えとけカメムシくん。まあ、真っ当なところはカーリースで、支払期間をわりと長期にすることだろうが、中古車ではまず通らんだろうな」
「あ! そしたら学資ローンとか子育て融資的なローン組んじゃって、それをグリフィスに当て込むってのは?」
「それは完璧なまでの違法行為。詐欺罪でもってブタ箱入りじゃ!」
このようにフィクションでは自社ローンを悪者に仕立てていますが、なかにはリーズナブルで良心的といえるものもないわけではありません。エヌ君のような「金融弱者」は別として、グリフィスの最終モデルといわず、ポッと出てきたお宝のようなクルマがどうしても欲しい方には、自社ローンは有効な手立てかもしれませんね。
え? エヌ君は結局どうなったかって? 自分の〇〇を抵当にいれて◆◆◆から融資をもぎ取って、どうにかグリフィスを手に入れたようです。が、磐梯山をドライブ中にオイルラインから出火、ボンネットフードを溶かしただけで済んだのですが、補修パーツがどうしても手に入らないと乗り換えを模索中、だそうです。