思い返すとCX-8のコスパが高すぎだった
パッケージング、居住性は、そもそもCX-8が”大人でもしっかり座れる3列目席”を備えていたわけで、CX-80はCX-8に対して全長で95mm、ホイールベースで190mm延長されたこともあって、室内空間、ラゲッジルームの広さは申し分ないはずだ。いまではミニバンをもたないマツダにとって、SUVの3列シートモデルは、マツダ車で多人数乗車を望むユーザーにとって唯一かつ格好の選択になることは間違いないところ。
ちなみに身長172cmの筆者のドライビングポジション基準のCX-8の各列のスペースは、1列目席頭上210mm、2列目席頭上170mm、膝まわり最大250mm(シートスライド後端位置)、3列目席頭上80mm、膝まわり50mm~(2列目席膝まわりを筆者がゆったり座れる180mmにセットしたときには120mmを確保)。CX-80はCX-8に対して全高が20mm低いことから、もしかすると各列の頭上方向はCX-8と変わらないか、やや低まる可能性がないでもないが、それでも各列、ゆったりと座れることは間違いないと予想する。
CX-8のラゲッジルームは開口部地上高800mm、フロア幅最大1460mm、3列目席使用時のフロア奥行500mm、3列目席格納時のフロア奥行1230mmというものであった。3列目席を格納すれば、大容量ワゴンとしても使えたのである。当然、CX-60とは比較にならないほど広いということだ。
もちろん、2017年12月に日本でデビューしたCX-8に対して、CX-80は約7年も新しく、先進運転支援機能もCX-60に準じた(いや、それ以上か)マツダ最新のものがこのクラスだけに標準装備されることは間違いない。
が、しかしである。CX-80がマツダ最新のラージ商品群、ミッドサイズ3列シートSUVとしての魅力を満載していることは明らかだが、いまとなっても”販売当時の”CX-8が有利な点が、ひとつだけある。それはズバリ、価格である。ほぼ同じパワーユニットを搭載するCX-60の現行価格を基準とすれば、仮にCX-80にベースグレードとして非マイルドハイブリッドのディーゼルエンジン搭載車があったとしても、CX-60の381.15万円~を考えると400万円オーバーは必至。マイルドハイブリッドでディーゼルのCX-60は530.75万円~だからCX-80は600万円オーバー、CX-60のPHEVが609.95万円からとなれば、CX-80のPHEVは700万円級になってもおかしくはない。
では、CX-8の価格を思い出してみよう。あの堂々としたサイズ、佇まいで、ガソリンモデルなら299.43万円~というどう見ても安すぎるハイコスパな価格設定だったのだ(ディーゼルエンジン搭載車でも337.7万円~、もっとも高価なCX-8 XDエクスクルーシブモード4WDで489.39万円)。つまり、「マツダの3列シートSUVは意外なほど買いやすい」という以前の常識は、このCX-80では、中身の圧倒的なアップデートに納得はできても、あらゆる物価の高騰もあって、もはや通用しないということだ。
いまでは中古車でしか手に入らないものの、ここにきてボディサイズを含め、CX-8の人気が静かに沸騰するかもしれない。自宅の駐車スペースがCX-8でギリギリならなおさらである(とくに巨大で大きく開くリヤドアの開閉性)。