中国の巨大企業「ジーリー」が日本で試乗会……だが行ってみたら謎のイベント! ブランドの将来に不安しかない (1/2ページ)

この記事をまとめると

■「中国のジーリーが筑波サーキットで試乗会を開催!」と思いきや……

■中国人インフルエンサーのためのジーリーのイベントに呼ばれただけだった

■ジーリーのハイブリッドモデルで筑波サーキットをゆっくり1周したができることならしっかりと試乗したかった

筑波サーキットでジーリーの最新モデルに乗れるはずが……

 それは極めて異例の開催だった。中国の自動車メーカーである吉利(ジーリー)汽車は、近年ではスウェーデンのボルボ社を傘下に納め、「Lynk&Co」という自社ブランドを立ち上げてWTCR(世界ツーリングカー選手権)でもボルボのレース活動を担うポールスターレーシングを活用して大活躍していることでも知られる。

 2018年、Lynk&Coのローンチでは、日本の富士スピードウェイを貸し切り、本国から数百人のジャーナリストやゲストを招き派手なイベントを開催した。そのときも筆者はゲストとして招待された。本コースを走れたのは筆者だけだったが、数百の中国人ジャーナリストも数人の日本人ジャーナリストも、イベントとしての開催を堪能していたはず。Lynk&Coブランドに対するイメージも好印象となったのはいうまでもない。

 今回、そのLynk&Coの親会社とも言える吉利汽車(ジーリー)自体が、今度は筑波サーキットで試乗会を開くという案内が届いた。BYD社の国内マーケット参入に次いで、いよいよジーリーも国内導入に動くのかと関係者の誰もが思っただろう。しかし、その案内の発行元は、なんと某自動車メディアの編集部となっていたのだ。通常、自動車メーカー広報部やイベント代理店などから届く発表会や試乗会の案内がメディア編集部から届くというのも異例だが、ジーリーという巨大企業の開催するイベントでもあるので、期待して指定された午前9時までに筑波サーキットに赴いた。

 パドックにはしかし、人影がほとんどなく、数人の中国人スタッフらしき人がいるくらい。日本語を話せる人はいなく、受付もない。すると、Bパドックからバスが入ってきて50人ほどの若い中国人が降りてきた。会場は一気に活気を呈してきたが、それでもわれわれ日本人用の受付は始まらない。事前に知らされた案内では9時半には受付を終了し、直ちに技術解説、そして10時半には試乗が始まるスケジュールが記されていた。日本人ジャーナリストもオンタイムで続々と集まってきていたが、受付は一向にはじまらない。

 すると、ピットロードに仮設されたステージで中国語でのアナウンスが始まり、国内トップレーサーの織戸 学氏がレーシングスーツ姿で登場すると日本語で挨拶。そして、中国人たちはミーティング会場に上がっていく。そのときすでに10時半は過ぎており、筆者を含めて日本人ジャーナリスト達は居場所もなく呆然としていた。

 仕方なく片言の日本語を話す中国人留学生に事情を説明し対応を求めると、ようやく今回のジーリー担当者がミーティングをすると会議室へ案内してくれた。そこで車両の説明はなく、質問はあるかとのことで「ジーリー車を日本へ導入するのか」と質問が相次ぐ。すると幹部は「自分は中国内の宣伝担当だから外国への展開は知らない」と。皆一斉に肩透かしを喰った感じだ。「ではなぜ筑波サーキットで?」と問うと、「ナンバーを取得していない、つまり一般道を走れないからここにした」と幹部。それ以上もう質問をする気持ちも失せた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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