アルピーヌ初のBEVモデル「A290」の実車を確認! 手の内に入りそうなスペックはまさに次世代ホットハッチ!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

アルピーヌA290がワールドプレミア

■ル・マン24時間レースの場でお披露目された

■現地で確認した車両の詳細を解説する

アルピーヌ初のフル電動モデル!

 β版でその姿を見せていた「アルピーヌA290」が、ついにその市販バージョンを、ル・マン・ウィーク中の本国フランスでワールドプレミアした。カテゴリーわけとしてはいわゆる欧州Bセグメントのプレミアム、つまりサイズ的にはプジョー208やトヨタ・ヤリスと同じぐらいのハッチバックながら、スポーツ・プレミアムとして既存車種を見渡せばアウディS1やVWポロGTIが挙げられるだろう。

 が、何せA290は100%BEV。アルピーヌとしても初のフル電動モデルだが、ユーロ・ホットハッチという従来なら「1980~90年代ヤングタイマー的」だったジャンルの最新鋭の解釈といえる。しかも欧州発表値によれば、外寸は全長3990×全幅1820×全高1520mmと、なんと全長4mを切るコンパクトさだ。

 ちなみに欧州ではエントリー価格で3万8000ユーロ~(約646万円~)と発表されている。参考までにBEVでこそないが、GRヤリスが欧州で4万6300ユーロ~(約787万円)という値札を下げていることを思えば、円安下の日本ではピンとこない感覚だが、コンパクトなプレミアムEVとしてかなり戦略的な価格なのだ。

 角張った2BOXスタイルで前後オーバーハングが短く、コンパクトなのに地面にどっしり踏ん張った少しこしゃくな雰囲気および姿勢は、往年のR5アルピーヌ、もしくはシュペール5のGTターボを踏襲する。じつはルノー・グループの最新にしてBEVネイティブの「AmpRスモール・プラットフォーム」を共有するルノー5 E-テックよりトレッドは60mmも拡大されており、見た目の重心高ごと下がっているのだ。

 実物と対面すると、公団ルノーのころの大衆車ながら、故マルチェロ・ガンディーニのスーパーカー・タッチを受け継いだ、それこそあの時代のホットハッチに通じる躍動感すら漂ってくる。一方、前後フェンダーのエッジの立て方やフローティングルーフといったディテールは現代的。5ドア・ハッチバックでCピラー上部にはA110と同じく青白赤のトリコロールの装飾が入るところにも注目だ。

 アルピーヌのフィリップ・クリエフCEOはハッチバック以外にもレガシーとして、1950年代のA106と直近のベルリネットA110を挙げる。A106 がそもそも、ルノー4CVという大衆車のコンポーネンツを多々継いだクルマであり、A110は新生アルピーヌ流のドライビング・プレジャーやモダンさを代表する存在ということだ。

 角目4灯の新たなライトシグネイチャーは昔のラリーカーがテープを貼っていた姿にインスパイアされたとか。リヤの縦長のコンビネーションランプは、まさしくR5&シュペール5を彷彿させるところだ。

 52kWhのバッテリーを2530mmのホイールベース内フロア下に最適化搭載することで、FFレイアウトながら前後車軸の重量配分は57:43、車両重量は1479kg(欧州発表値)とアナウンスされている。最大出力とトルクは2種類の仕様が用意され、A290 GTSと同GTパフォーマンスが300Nm・160kW(220馬力)、A290 GTと同GTプレミアムが285Nm・130kW(180馬力)で、0-100km/h加速はそれぞれ6.4秒と7.4秒を発揮するという。欧州でも最終的な型式認証前ではあるが、いまのところWLTPモードでいずれも最大航続距離380kmを掲げ、トランク容量は300~326リットルを確保している。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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