信号がいつ変わるのかをクルマで受信! 上手く使えば渋滞もCO2も減らせる「TSPS」とは (2/2ページ)

1台だけでどうにかなるシステムではない

 一方、TSPSを利用するための機器を車載しなければ利用できない。そもそも、光ビーコンが道路に設置されていなければ、運用さえできない。

 しかし、欧州では、たとえば赤信号から青へ変わる直前に、赤と黄色が同時に点灯する機能を何十年も前から導入し、それによって発進の準備をしやすいだけでなく、先が赤信号だと思っていても間もなく青に変わることを遠目に事前に知ることができる・アクセルを早めに少し戻してゆっくり交差点に近づけば、間もなく青になり、赤信号で停止することなく交差点を通過することができる。

 米国では、日本の右折(右側通行の米国では左折)を先に通すことで、右折車線に並ぶクルマの延長として直進車が停車させられることによる渋滞を軽減している。

 ITSのように先進技術を導入するだけでなく、信号機の運用や右左折の順番の組み換えという、既存の設備のままでもアナログ的に交通の停滞や、流れを阻害させにくい手法が、欧米で当たり前のように行われているのである。

 技術大国ニッポンを謳うのもよいが、今日にも実行できる簡単な解決法は、欧米に学ぶべきところがまだあるのだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

新着情報