この記事をまとめると
■TSPSはITSの一種で信号機に関する3つの支援を行うシステムのことを指す
■TSPSはビーコンの設置や専用の機器を搭載していないと使用できないデメリットがある
■欧州では数十年も前からTSPSに似た方向性をもつ原始的なシステムが採用されている
最近のクルマは信号が変わったことを教えてくれる
TSPSとは、「Traffic Signal Prediction System=信号情報活用支援システム」のことだ。
ITS(Intrigant Transformation System=高度交通システム)のひとつの機能で、道路に設置された光ビーコンを活用し、走行するクルマの位置や、走行速度を基に、信号機のある交差点を円滑に通行できるよう支援する。
提供される機能は、信号通過支援/赤信号減速支援/発進遅れ防止支援の3つだ。
信号通過支援は、赤信号で停止することなく青信号で通過できるよう、推奨速度が運転者に提供される。その速度で走れば、赤信号につかまり、停止と発進を繰り返さずに済む。
赤信号減速支援は、青から赤へ変わる時期をあらかじめ知らせることで、早めにアクセルを戻し、減速し始められるよう促す。これによって、交差点間近で赤信号になり、急停止する懸念が薄められる。
発進遅れ防止支援は、赤信号から青へ変わる残り時間を知らせ、間もなく発進できることを運転者に知らせることで、発進遅れを予防する。
いずれの機能も、連続して安定的にクルマが走れるようにすることを促し、停止と発進の繰り返しを減らし、燃費を改善することで二酸化炭素(CO2)の排出量を低減し、環境改善につなげる。また、無理な交差点の通過などによる事故の防止や、発進の遅れによる交通の停滞を予防することが期待されている。
クルマの燃費は、発進の際にもっとも悪化する。軽自動車でさえ、発進では燃費(km/L)が一桁台に落ちるほどだ。その回数を減らせられれば、CO2排出量の削減につながるのはもちろん、余分な燃料代を支払わずに済む。
また、信号のたびに繰り返される停止と発進の回数が減れば、交通の流れがよくなり、渋滞による運転者の苛々も軽減されるだろう。その精神的な安定が、事故防止にもつながるはずだ。