チェーンからベルトになり再びチェーンが主流に! クルマのエンジンに使われる「タイミングベルト&チェーン」とは

この記事をまとめると

■クランクシャフトの回転がカムシャフトに伝わることでエンジンは駆動する

■クランクとカムを動かすために使われるのがタイミングベルトやタイミグチェーンだ

■タイミングチェーンは基本的に単体での交換は不要といわれている

交換不要といわれるタイミングチェーンとは

 エンジンの定期交換部品のひとつに、タイミングベルトがある。

 4ストロークエンジンは、吸気バルブと排気バルブが、クランクシャフトが2回転する間に1回開くことになっていて、そのバルブの開閉はカムシャフトの回転が担っている。

 クランクシャフトの回転と、吸排気バルブの動きは正確にタイミングが合っている必要があり、エンジンの下部にあるクランクシャフトの回転を、ヘッド側のカムシャフトに伝えるためにベルトやチェーンが使われていて、これらでカムシャフトが駆動される仕組みが一般的。

 このカムを駆動するためのベルトがタイミングベルト。歯の付いたゴム製のコグドベルトで、静かで伸びにくく交換しやすいということで、少し前までこのタイミングベルトが主流だった。

 しかし、タイミングベルトはゴム製(+繊維)なので、熱や油の影響で劣化することが避けられず、10万kmを目安(輸入車はもっと短い距離)に交換することが前提であった。

 それに対し、近年、タイミングベルトではなく、金属製のチェーンを使ったタイミングチェーンを採用するクルマが、世界的にどんどん増えつつある。

 タイミングチェーンは、タイミングベルトが普及する前、古いクルマでは一般的だったが、静粛性が悪く、潤滑が必要で、伸びるとタイミングがずれて、しかも交換しづらいという欠点から、タイミングベルトに移行していった歴史があった。

 ところが、技術の進歩で静粛性などかつてのタイミングチェーンの欠点は見事に解消。タイミングベルトのように経年劣化で切れる心配がなく、金属製なのでゴムのベルトより幅が狭くて済み、省スペース化が可能。

 耐摩耗性、疲れ強さ、衝撃強靭性も抜群で、高出力で小形化する最新の高性能エンジンに要求される諸条件をすべてクリア。

 チェーンと一緒に、スプロケット、テンショナー、アーム・ガイドも大きく進歩し、オイル交換さえ怠らなければ、30万km無交換、ノーメンテナンスでOK。そうしたことから国産車、輸入車を問わず、新しいエンジンはタイミングチェーンへの移行がどんどん進んでいるのが現状だ。

 ちなみに、タイミングベルトの定期交換を怠ると、いずれタイミングベルトが切れて、カム&バルブが動かなくなるだけでなく、バルブがピストンにヒットして、エンジンブローにつながることも!

 タイミングチェーンだって、30万kmほどで寿命を迎えるといわれているが、通常はその前にピストンリングやメタル類、ガスケット、シール類などが先に消耗、劣化して、エンジンオーバーホールの時期を迎えるはずなので、タイミングチェーン単体での交換は、基本的に考えなくてもいいだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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