大人気な理由は残価率にもあり!
自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計によると、2024年4月単月のヤリスの販売台数は1万3765台、そのうち普通車、つまり3ナンバー車は7584台となっており、そのほとんどがヤリスクロスといっていいだろう。要するに、ヤリスシリーズの販売台数の半分以上がヤリスクロスとなっているのである。
トヨタ系ディーラーでヤリスクロスの人気について聞くと、「圧倒的な再販価値の高さも大きい」と答えてくれた。ヤリスクロスを5年プランで残価設定ローンを組むと、設定残価率は50%になる。一方のハッチバックのヤリスは20%ほどになってしまうとのことであった。ヤリスクロスもカーシェアリング車両などで見かけることはあるが、ハッチバックのヤリスはカーシェアリング、レンタカー、そして社用車といったフリートや法人向け販売がより目立っており、再販価値のダウンが顕著となっている。これはヤリスに限ったことではなくトヨタ以外のメーカーのヤリス同クラス車でも傾向は同じだ。
軽自動車は全般的に再販価値が高いので、コンパクトハッチバックは再販価値の低さもネックとなり、軽自動車の影に隠れがちになっている。その一方で、ヤリスクロスだけではなく、トヨタでいえば同じクロスオーバーSUVスタイルを採用するライズの再販価値も高めに推移している。ちなみに2024年3月に正式発売となったホンダWR-Vも強気の残価設定ローンでの設定残価率となっているようだ。
ヤリスクロスは、タイ、インドネシア、ベトナム、シンガポールなど東南アジアでは広くラインアップされており、欧州などでも販売されているグローバルモデルとなっていることもあり、その作りこみはかなりのもの。そのよさは誰でもすぐわかるものともいえ、さらに再販価値も高いとなればよく売れるのも納得である。
ただし、残念なことにいまは人気が高いことに加え、型式指定の認証問題などもあり、本稿執筆時点では生産及び出荷停止となり、新規受注も停止されている。