左右のルートがあるのは山間部の高速道路の工事がきっかけ
そのなか、山間部の拡幅工事に際し、トンネル自体の拡幅は困難なため、新たなトンネルを掘り、車線の数を増やす手段が採られた。この手法であれば、新設工事期間中もこれまでの道を使って従来どおり上りと下りの交通を確保できる。そのうえで、これまで上り車線と下り車線にわかれていた区間を、上りまたは下りのどちらかにまとめ、新設の拡幅されたトンネル区間を、反対の上りまたは下り車線に用いれば、車線の拡幅と、交通の移行も、利用者の不便をもたらさずに行える。
こうして、上りまたは下りに従来の車線を活用した区間が、右ルートと左ルートという選択肢をもたらすことになった。
交通の基本はキープレフトである。また、最高時速をより制限されるトラックやバスなどは、左端の走行車線を基本的には走ることとなり、おのずと左ルートを走り続ける傾向になる。
それに対し、乗用車はより身軽に速度調整ができ、トラックやバスなどを追い越して走る機会も多く、右ルートを選んだほうが速度を維持しやすいこともあるだろう。
とはいえ、進行方向を改めた車線は、それまでと逆走することになるため、やや違和感を覚えることがあるかもしれない。それも時間の経過とともに、車線の引き直しや、路面の改修が進むことで、右ルートと左ルートの差を覚えず走行できるような整備が行われているはずだ。
右ルート左ルートの選択とは別に、高速道路全体の交通量を増やす工事が進むのが、新東名高速道路である。上りと下りをあわせ、路線をひとつ増やす工事だ。これも、東名高速道路からの分岐では、右へ行くか左を辿るか、悩むことがあるかもしれない。