アメリカンマッスルまでEV化かよ……でもじつはローパワーFFなんて世代もあった「ダッジ・チャージャー」の歴史を振り返る (2/2ページ)

チャージャー60年の歴史のなかにはFFモデルもあった

 チャージャーは、新車ラインアップからしばらく姿を消したのち、1982年に復活する。それまでダッジ・オムニという車名で販売されていた3ドアハッチバックの上級グレードが「オムニ・チャージャー」へと名称を変更し、翌1983年からは単に「チャージャー」となった。

 この第2世代チャージャーだが、じつは初代モデルとの関連性はまったくない。ベースモデルとなったオムニはFFレイアウトのコンパクトカーであり、エンジンも2.2リッター直列4気筒のみ、最高出力はわずか100馬力ほどであり、かつてのマッスルカーイメージからはほど遠い内容となっていた。

 その後、シェルビー・コブラやGT40を手がけたことで知られるシェルビー・アメリカンがチューニングした高性能バージョン「シェルビー・チャージャー」が追加されたものの、大きな人気となることもなく1987年に生産を終了した。

 そしてしばらく「チャージャー」の車名は使われなかったが、2005年に3代目のチャージャーが登場する。約18年ぶりに登場した新型チャージャーは、クライスラー300やダッジ・マグナムと基本設計を共有するスポーツFRセダンとして登場した。

 発売当初こそエンジンは2.7リッターと3.5リッターという2種類のV型6気筒だったが、2006年には5.7リッターV8を搭載する「チャージャーデイトナR/T」を発表。さらに翌年には、最高出力431馬力を発揮する6.1リッターV8搭載の最強モデル「SRT-8」が追加されるなど、往年のマッスルカーらしさを取り戻した。この第3世代チャージャーは、歴代モデルで唯一日本市場へも正規輸入販売が行われていた。

 そして2010年4月にはフルモデルチェンジを受け、4代目へと進化する。基本的には3代目チャージャーの正常進化版で、FRレイアウトのセダンを踏襲。3.6リッターV6と5.7リッターV8、そして最上位モデルには6.2リッターV8 HEMIエンジンが搭載された。

 この4代目チャージャーは、2023年までの13年間も販売されるロングセラーとなったが、なかでも歴代最強といえるモデルが2014年に登場した「ヘルキャット」である。6.2リッターHEMI V8エンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力717馬力/最大トルク81.6 kgmを発生。トランスミッションは8速ATで、0-60マイル(0-97km/h)加速は3.7秒、最高時速328km/hというスーパースポーツ並みの性能を誇った。


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