日産GT-RのVR38DETTを搭載したSUVもあった
トヨタ・ランドスピードクルーザー
SEMAショーといえば、アメリカのガチなカスタムカーがわんさか出品されることで有名ですが、2017年に北米トヨタがそれこそガチで作ったランクルは、ひときわ注目を浴びた1台でした。スピードトライアル向けにV8エンジンをツインターボでチューニングして、なんと2000馬力までパワーアップという化け物だったのです。
エンジンは、ランクル200北米仕様、といっても我々にもお馴染みの5.7リッターV8の3UR-FE型。ここにギャレットエアリサーチ製の巨大なタービンGTX4718Rを2基装着し、ブースト圧は最大55psi(約3.86kgf/cm2)に設定。ノーマルの日産 GT-Rが1.0kgf/cm2ですから、いかに根性入れてるかがおわかりかと。
当然、内部のパーツもハイブーストに耐えうる改造が行われていますが、そこはNASCARやNHRA(ドラッグレース)で数多くの優勝を遂げている北米トヨタですから一切の手抜かりなし。
トライアル向けに車高短とされ、強化サスやハイスピード向けタイヤも装備され、NASCARのドライバー、カール・エドワーズ選手によるチャレンジでは370km/hオーバーというとてつもない記録をマーク。
それにしても、あのどでかい図体がタービン音を轟かせて加速する様子は見ごたえありすぎ(笑)。トヨタとはいえ、さすがアメリカ人が考えることはスケールが違います。
日産ジュークR
北米トヨタがV8ツインターボのランクルを作るなら、欧州日産は禁断ともいえる奥の手を使ってモンスターを生み出しました。2010年に彼らがリリースしたジュークRは、GT-RのV6ツインターボを詰め込んで545馬力を発揮するモンスターで、なんと世界限定5台で販売されました。が、イギリスのカスタムファクトリー「サヴァーン・ヴァレー・モータースポーツ」はさらなるパワーをゲット!
VR38DETTをベースにSVM製1050ccインジェクターや高効率インテーク、そして吹き上がり重視のエキゾーストシステムなどでチューニングし、最高出力は700馬力! BMWのV12と横並びというのは快挙としか言いようがありません。もっとも、ベースとなったジュークRはストックのGT-Rエンジンから155馬力アップですから、チューニングカーファンにとっては「ファインチューニングの範疇」といったところでしょうか(笑)。
むろん、エンジンだけでなくエクステリアも最高速カスタムが施され、各部のエアロパーツやボンネット上のNACAダクトなどノーマルよりも一段と化け物感マシマシ。
2010年の発売当時、お値段は4500万円とも5000万円とも噂されていましたが、5台のうち2台を日産本社が「保存用」として購入し、2台はすでにクラッシュで廃車となっています。すると、この700馬力だけが世界でただ一台のジュークRカスタムとなるのですが、果たしてどんな方が手に入れたのでしょうか。間違いなくチューニングカーファンでありつつ、車庫がさほど大きくない方なんでしょうね(笑)。