意地か矜持か!? こんなクルマほかにない! 自動車メーカーが「あり得ないほどこだわりを詰め込んだ」クルマ4台 (2/2ページ)

メーカー渾身のこだわり技術満載

 3台目は、11年ぶりにロータリーエンジンが復活したと話題のマツダMX-30 Rotary-EV。これはマツダの電動化モデルをリードするコンパクトSUVで、先にEVとマイルドハイブリッドモデルが登場していたのですが、そこにロータリーエンジンを発電専用に搭載し、プラグインハイブリッドモデルして登場したというわけです。

 そもそも、ロータリーエンジンというのは世界で唯一、マツダだけが量産に成功しているエンジンで、小さな排気量で高出力が得られ、軽量コンパクトで低振動・低騒音、走行性能のよさや効率のよさといった、さまざまなメリットが認められている技術です。それをそのまま発電専用に使うことができれば苦労はなかったのですが、そう簡単にはいかなかったようで、大きさ、排気量、素材、工場の製造過程に至るまでとことん改良。

 基本的には、新開発されたロータリーエンジン(8C型)は1ローターとなり、排気量が830ccにアップ、最高出力は53kW。ローター幅が従来の13B型の80mmから76mmになり、創成半径(レシプロエンジンのボア×ストロークに相当)は105mmから120mmになっています。

 さらに、燃料を直噴化したことや、単体で15kgもの軽量化、アペックスシールの厚み変更をするなどで信頼性を向上するなど、さまざまな課題をクリアして実現したのがMX-30 Rotary-EVとなっています。

 4台目は、同車種として1951年からの日本一長い歴史を誇る、トヨタ・ランドクルーザー。もともとは警察予備隊向けに開発された機動車でしたが、愛知県岡崎市にある階段をジグザグに登って見せたり、自動車として初めて富士山の六合目登頂を成功させたりといった伝説までもっている、日本が世界に誇る本格クロカン4WDです。

 悪路走破性の高さはさまざまな国で定評があるものの、時代に合わせて豪華路線になりつつあり、2021年に登場した300系は、まさに高級SUVの代名詞ともいえる存在に。でも、それでは本来ランクルを必要としている人たちにとってはちがうものになっているのではないかということで、2024年に登場した250シリーズは、「ランクルを作り直そう」と一念発起。質実剛健を追求し、多様な用途に応えて生活を支えるというランクルの原点に立ち戻りました。

 その大きなこだわりとして、まず強固でタフな土台づくり。ラダーフレーム構造のGA-Kプラットフォームを採用し、必要な場所に必要な材質、板厚を適用するため、いったんは素材を切断し、なんと世界初の曲線レーザー結合ののちにプレス成型するという技術を開発。これによって従来は板を重ね合わせて厚みを確保していたところを、新型では異なる鋼板が1枚板となり、より優れた堅牢性と高剛性を確保しているのです。

 また、これまで耐久性の面などからクロカン4WDでは難しいとされてきた、電動パワーステアリング(EPS)が初採用されたこともチャレンジ。テストを重ね、将来的な自動運転との親和性なども見極めて採用に踏み切ったそうですが、最後は「開発チーム全員、腹を括りました」というほどの決断だったといいます。これにより、オフロードでキックバックによってハンドルをもっていかれる症状を低減し、低速時の取りまわし性を向上。オンロードでも操縦しやすさと扱いやすさを実現しているのです。

 ということで、さまざまな困難を乗り越えながらも、理想とする姿へと一歩でも近づけようと、こだわり抜いて開発されたクルマたち。こうしたクルマに乗ることができるのは、ユーザーとして嬉しく幸せなことですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

新着情報