ロイヤルラインの系譜は現行型にも継承されている
ユニークなのは、後席左右席空間がまったく別物だということ。高級ファブリックを用いたパワー、フットレスト付きのシートは同一だが、左側席は足もとがより広く、前にある後席専用7インチテレビを備えた(ポツンと置いてある感じだが)コンソールも湾曲していて膝まわりスペースも広々。後席専用装備としては、格納式後席用テーブル、後席ピュアトロンなども用意され、ダウンライトを含むトータルコーディネイト照明、電動ピュアクリーンカーテン、オートスライドドア部分の電動式スライドステップも完備する。
一方、右側席はノートパソコンが置ける100V電源付きスライド式テーブル、その下にCDデッキ+カセット一体AM/FMラジオチューナー、書類収納スペース、再生専用VHSビデオデッキなどが備わり、仕事をするのに適切な空間となっている。
つまり、2座の左右の役割が違うということだ。仕事をする際は右側席、寛ぎたいときは左側席……ということだろうか。VIPが後席ひとり乗車なのであれば、その日の気分によって左右席を選べるというわけだ。
後席の「ファーストクラスVIPシート」は、現代から見れば昭和の豪華応接間感覚で、レクサスLMのモダンリビングとの時代の違いを強く感じさせるが、当時はそれが高級だったのである。
オーテックが手がけるからには、走りのチューニングも行われて当然で、カタログには「遮音材の効果的な使用で後席の優れた静粛性を実現するとともに、最適なチューニングを施した専用サスペンションを装備、なめらかで快適な乗り心地をもたらす」とある。
当然、誰かが運転することになるわけだが、前席の装備も最先端で、5.8インチ電動ポッフアップ式液晶モニター(テレビ/バードビュー/音声ガイド付きナビケーションシステム/後方モニター兼用)を完備し、カタログによれば、「大きなゆとりと安心感に包まれたドライビング」をもたらしていたようだ。
ここで、忘れちゃいけないのは、現在も日産エルグランドにはVIPグレードとして4人乗りが用意されていること。こちらの後席はなるほど、現代の洗練されたラウンジ感覚。ただし、左側席の前方がより広い「ロイヤルライン」の伝統は受け継がれているようだ。
なお、価格は2WDで807.84万円。なんだかお得に感じてしまいそうだ。