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メリットがあるのは間違いないもののコスパは果たして!? タイヤに「窒素ガス」を注入するのはあり?

メリットがあるのは間違いないもののコスパは果たして!? タイヤに「窒素ガス」を注入するのはあり?

この記事をまとめると

■タイヤに窒素ガスを充填する有料サービスがある

■窒素ガスの充填には3つのメリットがある

■かつてはモータースポーツでも窒素充填が流行ったが現在はドライエア充填が主流

窒素濃度を高めることでタイヤに何が起こるのか?

「タイヤが空気圧に依存する割合は90%」。これは高性能タイヤも価格最優先のいわゆる「タクシータイヤ」でも同じこと。どんなタイヤも適正な空気圧が保たれて、はじめてその性能を発揮する。

 その空気圧の管理で、ちょっと気になるのが「窒素ガス」の充填。いわゆる空気=大気をコンプレッサーで圧縮してタイヤに充填する代わりに、窒素ガスをタイヤに入れる有料(1本500円前後)のサービスだ。

 でも、ちょっと物知りな人は、こう思うはず。

「窒素ガスっていっても、そもそも空気(大気)の約78%は窒素でしょ? あとは酸素が約20%なので、空気を充填するのと、窒素ガスを充填することの差は、約20%の酸素の差。そんなの大した差はないのでは?」と。

 まったくそのとおりなのだが、一応窒素ガスを充填するメリットは3つある。

1)タイヤからガスが抜けにくい

 窒素ガスは、不活性ガスで分子の動きが遅く透過係数が小さいので、タイヤからガスが抜けにくい。

 タイヤ内の空気は、タイヤが正常であったとしても「自然空気漏れ」で、1カ月で5%ほど抜けてしまうが、抜けにくい窒素ガスならその半分、1カ月で2~2.5%ぐらいしか抜けない。

2)ホイールやタイヤ(内部)が酸化しにくい

 窒素ガスは酸素や水分が少ないので、ホイールやタイヤの劣化、酸化を防げる(タイヤもホイールも、表に出ている面は空気に触れているので、関係ない……)。

3)熱による体積変化が小さい

 一番メリットがあるとすればこれ! 水は液体から気体に変化すると、その体積は1700倍も膨張する。そして0.8メガパスカルの圧縮空気には、大気の9倍の水蒸気が含まれている……。そのため、コンプレッサーのタンク内には水分が非常にたまりやすく、エアタンク内の水抜きを小まめにやっていないコンプレッサーでタイヤの空気を充填すると、もれなく水分も一緒に充填され、熱による膨張率が大きくなってしまう(コンプレッサーの水抜きは、1日1回以上が基本だが、それを忠実にやっているところは???)。

 その点、ほとんど水分が含まれていない窒素ガスなら、温度変化による空気圧の変化を最小限に抑えることが可能。

 滑走路では300km/h以上の速度で走り、高度10000mでは摂氏マイナス60度の超低温に晒される航空機用のタイヤでは、こうした熱による影響の小さい窒素ガスを入れるのが標準。レーシングカーでも一時期、窒素ガスが主流だったが、F1などでは水分を除去した(強制乾燥)空気=ドライエアを利用している。

 というわけで、窒素ガスを使えば、ガスが抜けにくく、温度による内圧変化の影響が小さいといったメリットがあるわけだが、4本でおよそ2000円のコストがかかり、補充が不要になるわけではなく、補充サイクルが延びるだけ(空気なら1カ月に一度のところ、窒素ガスなら2カ月に一度ぐらい)。

 コスパを考えると、なかなか元を取るのは難しいかもしれないが、興味のある人はどうぞ。

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