いまどき「ハイブリッドはつまらない」とか言ってると笑われる! ヤバいくらい楽しい上に好燃費なHVモデル3台 (2/2ページ)

ワークスの名前は伊達じゃない!

 次に紹介するのは日産ノートオーラである。ノートといえばe-POWERでもおなじみのハイブリッドコンパクトカーの代表格の1台、2012-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車だが、オーラは内外装の上級化はもちろん、全幅1735mmのノート初の3ナンバーとなるワイドボディ、ノート比+20mmのワイドトレッドを採用。

 e-POWERのモーターも最高出力、最大トルクともに引き上げた、以前のノートの上級グレードのメダリストとは位置づけが違うプレミアムコンパクト。なかでもそのNISMOバージョンはe-POWERが威力を発揮するWLTCモード23.3km/Lの好燃費をもちつつ、ノートとは別格のスポーツモデルとしての役割が与えられた「アジャイルエレクトリックレーサー」をコンセプトとする1台。

 内外装のNISMO化は当然として、CL値(クルマを浮き上がらせる力)はノートオーラの0.11から0.03まで低減。つまりゼロリフトボディによる操安性の向上、シュアな操縦性が期待できるのだ。発電に徹する1.2リッターエンジン、モーターこそ基準車のノートオーラとほぼ同一だが、その本気度はドライブモードのセッティングを見れば理解できる。何しろNISMOの場合、エコモードでも基準車のノートオーラのスポーツモードに準じているのだ。その上にノーマルモード、NISMOモードがあり、NISMOモードは実際に走ることができる日産のドライブシュミレーター(長さ45m、幅15m)と熟練テストドライバーによる、約100パターンの評価から選ばれたスペシャルスポーツモードとなっているのだから本格すぎるのである。

 細かいことをいえば、NISMO専用化はシャシーのチューニングを始め、タイヤ&ホイール、ローダウンサスペンション、モノチューブ式リヤショックアブソーバー、EPS(電動パワーステアリング)、VDC/イテリジェントトレースコントロールなどに及んでいるほどだ。

 OPでレカロシートも用意される。ブラック&レッドのレーシーなコクピットに乗り込み、エコモードで走り出せば、100%モーター駆動によるトルク感、スムースさは、この時点でも基準車のノートオーラとは別物(車重は基準車+10kgでしかない)。ノーマルモードではその印象はさらに奥深いものとなり、これぞ真打ち!? といっていいかも知れないNISMOモードにセットすればアクセルレスポンスが一段と高まり、加速Gが航空機のように連続する伸びやかでパワフルな加速感に酔うことができるのだ。さらにエンジンを高回転まで回せばチューニングされた快音にしびれることになる。

 山道の走行で車体の前後バランスに優れた、接地性抜群の安定感たっぷりの気もちよいスポーツドライビングを堪能できることはもちろんだが、じつはもっとも燃費性能に優れるエコモードの運転のしやすさ、日常の走りの気もちよさが光るあたりこそ(結果、燃費に優れた走りが可能)、今回、ここで取り上げた大きな理由なのである。

 最後に紹介するのは輸入車として希少なフルハイブリッドモデルの1台となる、ルノー・ルーテシアE-TECH FULL HYBRIDだ。E-TECHは日産e-POWERとは異なる2モーター+1.6リッターエンジン(91馬力、14.7kg-m)側4速、モーター(36馬力+20馬力、20.9kg-m+5.1kg-m)側2速のドグクラッチトランスミッションを介する輸入車NO.1の25.2km/Lの燃費性能を誇るハイブリッドシステムを搭載。

 そもそもルーテリア自体が低重心感覚溢れる運転感覚、素晴らしくスムースに吹き上がるエンジンのもち主(1.3リッターターボモデル)だったが、E-TECH FULL HYBRIDモデルは低中速域ではさすがのフルハイブリッドモデルのエコ感もある走行感覚が特徴的ではあるものの、エンジンが主体となる高速域でのドグクラッチトランスミッションによる加速フィールの気もちよさは格別。つまり、ベース車の走りのよさと輸入車NO.1の好燃費を両立しているのがルーテシアE-TECH FULL HYBRIDということだ。ハイブリッドモデルで好燃費さと運転の楽しさを味わえるクルマでも、国産車は嫌……という人にぴったりではないだろうか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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