この記事をまとめると
■かつてハイブリッドカーは燃費重視の走りがつまらないモデルといわれていた
■最近では走りが痛快なモデルやワークスが仕立てたハイブリッドカーも存在する
■走りが楽しくて低燃費なハイブリッドカーを3モデル紹介する
ハイブリッド=つまらないは時代遅れ
ハイブリッドモデルというと、初代からハイブリッド専用車のトヨタ・プリウス、一時、世界最高燃費性能を誇ったトヨタ・アクアなど、燃費最優先で走りは二の次……というエコカーを想像してしまいがちだが、現在、ハイブリッドは多くの車種に採用され、なかには好燃費さと運転の楽しさを味わえる、走りがメチャ気もちいいクルマ、いや、サーキットで走らせても痛快なクルマも存在する。
その筆頭が、人によっては意外と思えるかも知れないが、ホンダ・シビックのハイブリッド=e:HEVモデルだ。シビックにはタイプRもあり、「そっちじゃない!?」という意見もあるだろうが、じつはそうでもない。今やシビックはワールドワイドモデルとして、10代目からはボディサイズが拡大し、全長4520×全幅1800×全高1435mm(ハッチバックの数値)となり、見た目の高級感、存在感を一気に増すことになったのだ。
そして11代目の一角に、2022年6月に加わったシビックe:HEVモデルは、新開発された世界トップレベルの熱効率41%を誇る2リッター直噴エンジンと、進化した2モーターのスポーツe:HEV=ハイブリッドを組み合わせ、そのスペックはエンジン141馬力、18.6kg-m、モーター184馬力、32.1kg-m、WLTCモード燃費24.2km/L(レギュラーガソリン仕様)というものだ。
見た目から地を這うようなワイド&ローかつスポーティなボディシルエットをもつ最新のシビックは、その印象そのままに、エコ優先のハイブリッドモデルではない。ガソリン車同様の235/40ZR18サイズのタイヤを履く、スポーツe:HEVモデルと断言していい1台だ。
ハイブリッドシステムはモーター走行を基本とし、EVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードをシームレスに使いわけるのはほかのホンダe:HEVモデル同様だが、ドライブモードのSPORTモードではアクティブサウンドコントロールによってエンジン回転とシンクロさせた快音を響かせてくれる演出、ドライバーの感覚に合わせた加速感をもたらすダイレクトアクセル、リニアシフトコントロールといった凝った高精度制御まで搭載されているのが、ただのハイブリッドモデルとは違うスポーツモデルとしての大きな特徴だ。
走り出せば、出足からのモーターによる加速感は素晴らしくスムースでトルキー。18インチタイヤを履いていながら、乗り心地も実に洗練されたものといっていい。そしてe:HEVモデルだから巡行時は極めた静かだ。しかし、ドライビングフィールは上質にして極めてスポーティ。パワーステアリングは終始、ズシリと重く、アルミペダルを深々と踏み込めば、まるでマニュアル車でシフトを操り加速しているような、極めてマニュアル感のある気もちよさ抜群の加速フィール、ステップアップシフト感、快感とさえ表現できる豪快なパワーの盛り上がりを、リニアシフトコントロールの高度な制御によって感じ、興奮できるに違いないのである。
フットワークも極めてスポーティだ。全高が1415mmと低いことに加え、自慢のフロントストラット、リヤマルチリンクのサスペンション、そしてe:HEVの新世代リチウムイオンバッテリーの床下配置による低重心化によって、直進状態、コーナリング状態、高速走行状態を問わず、まるでスポーツカーのような地を這うような接地性に支配されるフットワークテイスト、低重心感覚を味わせてくれるから痛快だ。ドライブモードをSPORTにセットしてアクティブサウンドコントロールを引き出せば、加速のリニア感はさらに増幅。
CVTのラバーバンド感など皆無で、ほとんどスポーティカーを操っている走行感覚、走行サウンドとなる。筆者はサーキットで走らせたこともあるが、フットワーク、ウルトラスムースかつ突き抜けるようなエンジンフィールの気もちよさに感動しきり。タイプRを買わなくてもこれで十二分に素晴らしく上質かつスポーティな走りを楽しめると痛感させられたものだった。それでWLTCモード燃費24.2km/Lを誇るのだから、まさに時代の万能スポーティマシンとさえいえる、走り好きも満足できる商品力を備えているというわけだ。