この記事をまとめると
■電気自動車の課題点の多くは充電に関する内容だ
■EVやPHEVはカーナビと連携させるとより快適に使えるようになるといわれている
■充電器ごとに出力表示もあると充電時にかかる時間がわかって便利になる
普及しつつあるEVにはまだまだ不満点も多い
電気自動車に関する不満には、1回の充電で走行できる距離が短い、充電を繰り返すと走行可能な距離がさらに短くなる、充電の所要時間が長い、急速充電スポットが足りないために混雑している、といったことが挙げられる。
つまり、電気自動車に関する不満の多くは、駆動用電池の性能を含めて、充電に関する事柄で占められる。ユーザーとしては、1回の充電で走行できる距離を伸ばし、駆動用電池の劣化も抑えて、急速充電器などの設置場所も増やして欲しい。そこをもう少し掘り下げたい。
まず、急速充電器の有効活用には、各充電器設置場所の混雑状況が正確にわかると好ましい。その上でカーナビのルート探索も連動させる。一般的なルート探索は、最短時間で目的地に到達できることを重視するが、電気自動車には別のモードがあっていい。時間よりも電費の節約を優先させ、なおかつ長距離を移動するときは、空いている急速充電スポットを経由して目的地に到達できるようにする機能だ。充電ありき、のカーナビがあると便利に使える。
PHEV(プラグインハイブリッド)にも専用のカーナビ機能が欲しい。PHEVは電気自動車に比べて駆動用電池の容量が小さく、長距離ドライブに出かけるときは、自宅で充電した電気だけでは足りずエンジンも必ず作動させねばならない。しかもPHEVには、急速充電器を使えない車種も多い。
PHEVの場合、ユーザーが何もしなければ、自宅を出発して暫くはエンジンを始動させずに充電された電気を使ってモーター駆動で走る。そして充電された電気を使い果たすと、エンジンを作動させてハイブリッド走行に移る。
ただし、この走り方では充電された電気を有効活用できるとは限らない。出発して暫く走り、高速道路に入ったときなど、エンジンを駆動したほうが効率に優れるからだ。
そこで、PHEVによっては、ドライバーの操作でエンジンを作動させて充電された電気を保存したり、走行状態に応じてモーター/エンジン駆動を自動選択するタイプもあるが、これも理想はカーナビとの連動だ。自宅を満充電で出発したあと、次の充電スポットに到着するまでの過程で、もっとも効率良く充電された電気を使い切るように走りたい。
この制御をするには、綿密な交通状態の予測に加えて、登降坂の道路状況なども正確に把握することが求められる。綿密な計算と制御が必要だが、開発者は「不可能ではない」という。
このような制御を行うためのデータがそろえば、電気自動車の「あと何kmを走行できるか」という表示も正確になる。いい換えると、走行可能距離を正確に表示するには、将来的な道路の混雑具合、走行速度、登降坂の状態、エアコンの作動状態、さらにドライバーの運転の仕方まで、さまざまなデータを集めて正確に分析する必要があるわけだ。
このほか、急速充電器については、出力も表示されると親切だ。30kWくらいから70kW前後まで多岐にわたり、それによって充電の所要時間も変わるからだ。