オープンドライブを楽しむためには相応の儀式が必要
これだけ篏合やジョイント、スナップが多いとなればどこか一か所でも不具合が生じるだけで完璧なルーフは望めないはず。正確なところは不明ですが、細かく分割してパーツが出ればまだしも、ASSY交換だったりしたら誰もがゾッとすることでしょう。電動でないだけましかもしれませんが(911にしろ、ボクスターにしろ電動ソフトトップもひとたび不具合が生じると個人で直すのは一苦労どころではありません)、自分でリペアをする方にはくれぐれもお気を付けいただきたいポイント。
とはいえ、ポルシェの側に立ってみると、あるいはちょっと古いエンスージアストとしてみると、こうした面倒なソフトトップというのも「あり寄りのアリ」かもしれません。というのも、718スパイダーの祖先をたどれば964や930、そもそもは356の時代から存在した「スピードスター」にほかならず、これらのモデルは共通して「簡便なソフトトップ」というのがデフォルトだったから。
また、雨風をようやくしのげるくらいのシンプルさですから、幌を閉じた際もさほど大げさでなく、オープントップのプロポーションを損ねないスタイルというのも間違いないところ。
シンプルゆえに構成部品も何本かの骨組みとキャッチくらいですから、開閉作業にもさほどの苦労はなく、どこかの小さな部品がパキッと折れたりすることも少なかった模様。もっとも、雨風をしのぐ機能もまた最低限だったこともたしかで、このあたりは最新の911カブリオレの足もとにも及ばないかと(布の表面には耐熱・耐候コーティングがなされ、複層構造によって通常のハードルーフと同等の快適性、防音性を誇っています)。
いってみれば「ピュアなスポーツカー向け」という解釈もでき、ちょっと変態じみたエンスージアストは喜んでチマチマ開け閉めしていそうです(笑)。また、ポルシェにいわせたら「シャッター付きのガレージがあれば開閉の頻度はさほどあるわけでもなし」と鼻をくくったような返答になるかもしれません。
いずれにしろ、20ものプロセスを経ねばならない設計はいくらバイザッハといえども褒められたものではないはず。いっそのこと、356当時の設計を流用したほうがまだ納得できるかも、といったらポルシェ信者に石を投げられるかもしれませんがね(笑)。