この記事をまとめると
■日産はかつてWRCに参戦していた
■グループB規定に沿うように作られたホモロゲーションモデルが240RSだ
■海外での使用を想定していため左ハンドルモデルがそのまま日本でも販売された
日産が手がけたラリー用ホモロゲーションカーとは
日産は現在もフェアレディZやGT-Rなど、モータースポーツに参戦するベース車となり得る車種を販売しており、スーパーGTなどのカテゴリで活躍しているのはご存じのとおり。そんな日産は、過去にWRC(世界ラリー選手権)に積極的に参戦していた時期もあった。
そんな当時の日産により、グループBで競われていたWRCに参戦するためのホモロゲーションモデルとして特別に仕立てられたモデルが「240RS」と呼ばれるスペシャルモデルだ。
この240RSは3代目シルビア(S110型)がベースとなっており、当時2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2種類のボディタイプのなかから、開口部が小さくボディ剛性の面で有利な2ドアノッチバックボディを選択。ベース車にはない台形型のオーバーフェンダーや開口部が大きく採られたフロントグリル部分などが外観的な差異となっている。
そして、ベース車のシルビアともっとも異なるのがパワートレインで、心臓部となるエンジンには2340ccの排気量を持つFJ24型が搭載された。
ベースのシルビアにも同じFJ型となるFJ20型が搭載されたグレードが存在していたが、FJ24は競技用エンジンとして手がけられたものとなっており、FJ20型との共通点はほぼ皆無。そもそもWRC参戦を見込んだ競技用車両ということで、ラインオフの時点でミクニソレックスのキャブレターが2連装されるなど、レーシングスペックとなっており、NAながらリッター100馬力を超える240馬力を発生していた。
240RSの車名はこのエンジン出力や排気量が由来となっているとされているが、ワークスカーに至っては275馬力にも達したといわれている。
そんな240RSは、WRC参戦を睨んだモデルということもあり、基本的に日本国外に向けての販売を念頭に置いていたため、グループBの最低生産台数である200台あまりの生産台数のうち大半が左ハンドルとなっている。ロードカーバージョンとはいえほぼ競技仕様のままデリバリーされていた異色のモデルとなっていた。
そんな240RSは1983年にWRCに投入され、ニュージーランドラリーでは2位に入賞する活躍を見せた。
しかし、ターボ&4WDのラリーマシンが台頭し出した時代ということもあり、WRCで勝利を挙げることは叶わずに表舞台から姿を消すこととなってしまった。