バスは重量配分がリヤ寄りなので無駄な上下動を感じずらい
ご存知のように、日本国内で走っている多くのバス(マイクロバス除く)は、用途にかかわらずリヤに巨大なエンジンを積んだRR(リヤエンジン・リヤ駆動)レイアウトとなっていることがほとんどだ。そのため空車での前後重量配分は、おおよそ3:7となっている。
バスの車体をシーソーのようにとらえ、この重量配分から考えられる支点あたりに座っていれば、加減速による上下動の影響がもっとも少ないといえる。おおよそのイメージでいうと、前後タイヤの中心地点から、中間地点より後ろ寄りのところに乗り心地のよいポイントがくることになる。その場所で、なおかつ横方向にも中央付近に座っていれば、左右の動きからの影響を最小限にすることが期待できる。
もっとも、前後にドアがあるような乗合バスでは車体中央付近に座席があることは少ない。観光バスや高速バスなどでも中央は通路になっているため、物理的なベストポジションに座席はない、というのが現実なのかもしれない。
さらにいえば、前述した前後重量配分は空車時のものであり、乗客が多いような状況での前後バランスは変わってくる。加えて、タイヤに近い場所は振動やノイズも大きくなるため重量配分だけで考えるのが難しい面もある。
とはいえ、前後のオーバーハング(タイヤ軸より前後にはみ出した部分)に座っているのはピッチングの影響が大きくなるため、そこに乗り心地のよいポジションがくるということは考えづらい。
遠足などで、バスの最後端に座りたがる子どもは多いのかもしれないが、乗り心地的にはけっして特等席とはいえないのだ。
また、クルマ酔いしないようバスの最前列に座りたがる人もいる。たしかにフロントウインドウに近いほど景色がよく見えるし、運転手の操作から次にくる挙動に身構えやすいのかもしれないが、フロントタイヤの前というのはやはりピッチングの影響が大きくなりがちなので、乗り心地の点においてはベストチョイスとはいえなさそうだ。