ランボのヘッドライトがフェアレディZのもの! アストンマーティンのテールランプはファミリア!! さらに地下鉄のランプまで……日本車からの意外すぎる流用パーツ (2/2ページ)

クルマだけでなく鉄道にも使用されている

■ランチア・ストラトスの丸いテールランプは大衆車からの流用

 イタリアのカロッツェリア「ベルトーネ」の鬼才デザイナー、「マルチェロ・ガンディーニ」のデザインのなかで、「カウンタック」と並んで最高傑作といわれている「ランチア・ストラトス」も、大胆な流用がおこなわれた1台です。

 特徴的な外観デザインのなかでも印象に残るまん丸の2灯テールランプはストラトスの後ろ姿のアイコンにもなっていますが、じつはこれ、「フィアット850ベルリーナ」からの流用品らしいのです。これにはガッカリするどころか逆に、大衆車にまん丸のテールを採用するフィアットは、「さすがイタリア!」と賞賛したくなりました。

■マクラーレンはメルセデスのパーツを使っている

 この話はかなり細かい部分の流用例ですが、プレミアムスポーツカー・メーカーのマクラーレンが、エントリーモデルの「570S」に、メルセデスで使われているパーツが流用されているようです。

 その部品というのはサイドウインドウの昇降モーターです。このモーターはドイツのパーツサプライヤーのクローゼ社が製造する部品で、「メルセデス・ベンツ Eクラス(W212)」や「メルセデスAMG GT-R」などに採用されているとのことです。

■<番外編>その1 2000GTのテールランプはバスからの流用?!

 さて、ここからは別メーカー間の流用ではなく、同じメーカー内での「意外な」流用例を紹介します。

 これはちょっと旧い例ですが、日本を代表するピュアスポーツカーの「トヨタ2000GT」のテールランプが他車種からの流用です。しかも、当時カローラの6倍の価格といわれた超プレミアム車のテールランプにマイクロバスのテールランプが流用されていたというのですからビックリです。

 その流用元のマイクロバスというのは、1956年に発売された「トヨタライトバス K170B系」です。こちらはこちらでメッキの装飾がアメリカンな雰囲気でまとまっていて興味深いデザインですが、まさかマイクロバスからあの名車のテールを流用してしまおうという大胆な発想をするなんて、当時のデザイナーは図太い神経をしていたのだなと思わずにいられません。

■<番外編>その2 地下鉄のホームドアにGT-Rの部品が!

 そして番外編のもうひとつは、その流用先が意外すぎる例です。

 その流用先というのは地下鉄のホームドア。東京の都心を「Uの字」にぐるっとまわる「東京メトロ・丸の内線」のホームに設置された「ホームドア」の上部に付けられたインジケーターランプに「NISSAN」の刻印があるというのです。

 そのことにいち早く気付いたクルマ好きがいたのでしょう。SNSなどで拡散して「あれは14シルビアのサイドマーカーに似ている」とか「33GT-Rか34前期ではないか?」などいろいろ検証が成されたようですが、まだ車種を特定するエビデンスは出ていないようです。

 ちなみにその採用理由ですが、ホームの長手方向に対して視認性が優れる製品を探していたところ、クルマのサイドマーカーの機能と結びつけた人がいて、それで仕入れの交渉をおこなったとのことです。

 確かに機能を考えたら合理的な判断だと思いますが、きっとその採用会議にはクルマ好きが混ざっていたと考えたほうが自然でしょう。

 と、いろいろ意外な流用例を挙げてみましたが、流用の主な目的はコストカットです。上記の流用例のほとんどは少量生産のスポーツ系車種です。そのジャンルの車種では、エンジンやデザインにはコストを割きますが、他の部分はできるだけ低コストで済ませたいと考えるでしょう。とくにヘッドライトなどの灯火類は構造が複雑なこともあって意外とコストがかかるため、個別に型を作って製造するのではコストが合いません。その結果流用という妥協案を選ぶことになるのでしょう。

 部品の側からしたら、いろんなところで活躍できて嬉しいことなのかもしれません。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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