この記事をまとめると ■フォーミュラカーには防護装備として「Halo」が備わっている
■Haloは走行時に飛んでくるパーツの破片や転倒時などにドライバーの頭部を保護してくれる
■走行中のドライバーの視線はコースの先を見ているためHaloが視界の邪魔をすることはない
いつの日からかフォーミュラカーには必須の装備となったHalo 全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦が5月18〜19日、大分県のオートポリスで開催。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGで5号車を駆る牧野任祐選手が好スタートを決めて自身初優勝を獲得した。
全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦のレースシーン 画像はこちら
それにしてもアジア最速のフォーミュラだけあって、スーパーフォーミュラのコーナリングは異次元なほど速かったが、筆者が以前からずっと気になっていたのが、「Haloって前が見づらくないの?」ということである。
当サイトの読者のなかにはご存じのない方もいるかもしれないが、Halo(ハロ/ヘイロー)とは、ドライバーの頭部を保護すべく、フォーミュラカーのコクピット周辺に取り付けられている防護装備で、2018年のF1およびF2で初めて採用。
スーパーフォーミュラのHalo 画像はこちら
当初はファンの間で「カッコ悪い」と不評だったが、2019年からはスーパーフォーミュラ、F3でも採用されるようになり、いまではほとんどのフォーミュラカーで採用されるなど、当たり前の装備となっているのだが、ドライバーの頭部の正面に保護バーが装着されることになり、視線の邪魔にならないのかどうかが非常に気になる。
というわけで、いまさらながら、スーパーフォーミュラ第2戦が行われているオートポリスの会場でドライバーを直撃してみた。
まず「初めてHaloについたクルマに乗ったのは2019年のスーパーフォーミュラでしたが、初めて乗ったときから違和感はないですよ。走っているときはもっと遠くを見ているので、まったく気になりません」と語るのは、docomo business ROOKIEで14号車のステアリングを握っている大嶋和也選手だ。
docomo business ROOKIEの大嶋和也選手 画像はこちら
「Haloがあったことで助かった……という経験はないですけど、いろんなクラッシュを見ているとやっぱり必要だなぁ……と思いますね」とのことで、やはりHaloはフォーミュラになくてはならない装備になっているようだ。
また、VANTELIN TEAM TOM’Sで36号車を駆る坪井 翔選手も「目の前に棒があるので、よく“邪魔じゃない?”と聞かれるんですけど、僕たちは遥か遠くをみていて視界に入ってこないので気にはならない。むしろ、鈴鹿のデグナーは夕方になると太陽が眩しいんですけど、上のバーがひさしになってくれて見やすかったりします」と語る。
VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔選手 画像はこちら
大嶋選手と同様に坪井選手もHaloに助けられた経験はないものの、「逆にHaloがなくて危ない経験したことはあります。2018年のマカオGPに参戦していたんですけど、1コーナーでぶつけられて死にかけましたからね(注:後方から他車が大坪選手のマシンを直撃。大坪選手の頭上を乗り越えてコースアウト)。2019年からHaloが装着されたので安心感はあります」と坪井選手は語る。
坪井選手によれば「Haloがあるとないとでは違うと思います。ひっくり返ったりするとHaloが守ってくれるし、相手に乗り越えられるとヤバイですからね。そのヤバイ経験をしているのでHaloの必要性をよく知っています」とのことで、いまでは見慣れたHaloは、フォーミュラカーにとって大切なアイテムとなっているのである。