運転士の労働環境を守るハズがむしろ危険に!? バス業界にとって2024年問題は命にかかわる問題だった (2/2ページ)

現状の労働時間の改善策は何もいいことがない

 時間外労働の上限規制が適用されることにより、乗務シフトは当然変わることになるだろう。つまり、現状は自分たちで確立したルーティーンの変更を余儀なくされながら日々乗務していることになる。拘束時間を減らすことを目的とした「働き方改革」のひとつとして時間外労働の上限規制が適用されるようになったのだが、現状では「収入面での不安」を抱えながら、外的要因でまさに働き方が変えられてしまっている。

 運転士は人間であり、特殊な勤務形態のなかステアリングを握ってきた運転士にある日突然、「働き方を変えなさい」というのは、かなり乱暴な動きのようにも見える。遠足など貸し切り輸送でのバス乗務についても、渋滞などで帰庫が遅れ、結果的に時間内に業務が終了しなければ(運転士は運転だけをしていればいいというものではない。車庫に帰ってきてからもさまざまな付随業務があるのだ)その後直近の乗務ができなくなるといった不安もあると聞く。

「あるタクシー会社の新人研修では、『明け方はたとえ目が開いていても、思考能力が落ちている、つまり頭のなかは半分寝ていると思いなさい』と教えていたと聞いています」とは事情通。

 一般路線バスでは減便や路線廃止の動きに歯止めがきかない。スーパーではトラック輸送が滞ることとなり、営業時間中ずっと商品陳列を行っているが、それでも欠品が相次いでいる。「働き方改革」の旗印のもと、利用者の利便性が損なわれ、離職が目立つことも含め、現場で働く運転士にも過度な負担を強いてしまっているように筆者は見える。今回の事故原因について2024年問題が影響しているとは断言できないが、バスが関係する事故の報道が相次いだのを見ていると、まったく関係がないともいい切れない。

 現場軽視のように見える動きが、今回の2024年問題を顕在化させているように見えるのは筆者だけなのだろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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