この記事をまとめると
■自動車メーカー5社で不正問題が発覚した
■業界全体で見ると数百万台に上る大規模な問題となっている
■自動車業界全体の信頼回復へ向けての具体的な動きを期待したい
自動車メーカー各社で不正が相次いで発覚
日本においてクルマを量産、販売するために必須といえるのが「型式指定」を受けること。昨年来、ダイハツ工業や豊田自動織機などが「型式指定」の申請に不可欠な認証業務においてさまざまな不正(以下:認証不正と記す)を行っていた報道もあって、型式指定の重要性は多くの自動車ユーザーが知ることになっているだろう。
当然、これらは型式指定に関する監督官庁である国土交通省も問題視している。そこで2024年1月26日に、すべての自動車メーカーに対して“過去10年間における認証不正”についての調査を指示していた。その結果(経過)が6月3日に各自動車メーカーより発表された。
結論からまとめれば、6月3日段階で認証不正があったことを確認したと発表したのはトヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の5社。スズキとヤマハ発動機はそれぞれ1車種のみで台数規模も小さめだったが、そのほかの自動車メーカーでいえば、認証不正対象が全325万台となっているホンダをはじめ大きな規模となっている。
●各社認証不正 車種数
ホンダ 22車種 (フィット、NSXなど)
トヨタ 7車種(ヤリスクロス、レクサスRXなど)
マツダ 5車種(アテンザ、アクセラなど)
スズキ 1車種(アルトバン)
ヤマハ発動機 1車種(YZF-R1)
ただし、認証不正が確認された車種はすべて現行モデルというわけではない。現行モデルは、トヨタの3車種(カローラフィールダー/カローラアクシオ/ヤリスクロス)、マツダの2車種(ロードスターRF/MAZDA2※)、ヤマハ発動機の1車種(YZF-R1)という3社6車種に限られる。
※1.5リッターガソリンエンジン2021年6月以降販売モデル
つまり認証不正により出荷停止となるのは、上記6車種になる。ヤマハ発動機のスポーツフラッグシップであるYZF-R1やマツダの2シーターモデルであるロードスターRFを除くと、いわゆる大衆車と呼ばれるモデルが並んでいる。生産再開までのスケジュールも読めず、非常に影響は大きいといえるだろう。とくにヤリスクロスは、「ヤリス」ファミリーの販売を支える人気モデルであり、国内での販売ランキングにおける影響も大きそうだ。
なお、ホンダとスズキについては認証不正が認められたモデルが、すべて販売終了となっているため生産・販売における問題はないといえる。