スーパーカーに引けを取らないオーラがある
とはいえ、ポルシェだって危険な香りを漂わせたことは何度かあります。
最初期の911は、前後重量バランスの不備から超テールハッピーとされていますし、959にしても200km/hからのフルブーストではスネーキング(蛇行)が問題視され、カレラGTに至っては、エンジンと駆動系の無理なレイアウトからトリッキーな挙動が頻出し、「失敗作」のレッテルすら貼られています。
が、こうした「ヘマ」をポルシェがしでかしても、どこかしら愛嬌に欠ける気がしませんか。つまり、くわえタバコの職工がテキトーなトルクでシリンダー組んじゃうとか、1台ごとにフェンダーのふくらみが違ってるなんて「おおらかさ」もまたスーパーカーに欠かせない隠し味に違いありません。
だいたい、ポルシェをスーパーカーと認めないのはアンチな方々でしょうが、これまたポルシェに責任があるのです。アンチにいわせると「客を客とも思わないクルマづくり」で、「最新のポルシェが最高のポルシェ」というよくできたセールスコピーを使い、真に受けた客は毎年毎年、最新型を買わされるはめに。もちろん毎年改良をしているとか、進化しているとかいい訳していますが、針の先ほどの変更をそれこそ棒大に伝えている気がしてなりません。
加えて、「それ改良するなら最初からやってくれたらよかったのに!」という後だしセールスもポルシェが先駆者だったという意見も。ともあれ、ポルシェだって商売ですからクルマを売るためには賢い販売戦略が不可欠。ところが、出来上がったクルマにそうした商魂が透けて見える場合が少なくないのがアンチを生み出す理由であり、スーパーカーと呼ばれづらい雰囲気を作っているのかもしれません。
たとえば930ターボは、発売時期がブームに重なることもあってか、スーパーカーと呼ぶ方も少なくないのですが、その出自は極端ないい方をすれば北米向けの「ちょっといじった911」に過ぎないクルマ。知れば知るほどポルシェの底が知れるというもので、イエローバードやブラックバードの苦労を思うとため息しか出てくるものはありません。
もっとも、ポルシェはスーパーカーに興味がないだけで、GT、あるいはスポーツカーとしての地位は1mmたりともゆるぎなきもの。ブガッティやマクラーレン、はたまたケーニグセグの横に並んでも「我関せず」と澄ました顔ができる唯一のメーカーにほかならないのです。
それこそピュアなスーパーカーでは得難いクールな魅力を放っている、こんなこと言うとまたまたアンチが増えてしまうかもしれませんがね(笑)。