「乗らなくても」じゃなくて「乗らないほうが」ボロくなる! 長期間動かさないクルマがみるみる劣化するワケ (2/2ページ)

動かさないことが原因で各部が痛む場合も

■足まわりではサビや固着や劣化が進む

 クルマの足まわりはアームやブッシュなどのいろいろなパーツで構成されていて、それぞれが稼働しながら性能を発揮していますが、この部分も動かさずに放置するとさまざまな症状が進行して作動を妨げるようになってしまいます。

 その稼働を妨げる原因のひとつはサビです。足まわりで金属同士が直接こすれ合う箇所は多くありませんが、たとえばサスペンションのバネを支える部分などでサビが進むと、ギシギシといった異音の原因になります。

 次にグリスの劣化です。ステアリングアームやラック&ピニオンのジョイント部分などにはゴムブーツの内部にグリスが封入されていますが、このブーツが劣化でひび割れた場合、内部のグリスの酸化が始まります。グリスによっては、劣化によって粘度が高くなり、ハンドルの重さが発生することもあります。

 また、ゴムの劣化で注意したいのはブッシュの部分です。アームの付け根などには振動を吸収するためにゴムが挿入されていますが、それが泥水やオイルなどによって徐々に劣化していき、大事な柔軟性が損なわれていきます。稼働していればいろんな方向に荷重がかかるのでまだマシなのですが、放置していると一定方向にずっと荷重がかかるので、劣化に加えて変形してしまいます。この状態になると、きちんと性能を発揮できなくなるので交換が必要になります。

■紫外線で内外装にダメージが進む

 外観で最大の敵は紫外線でしょう。紫外線というのは、ちょっとの照射で日焼けしてしまうくらいパワーが大きいものです。屋根のない青空駐車でカバーもかけていない状態では、毎日のように紫外線のパワーに晒されているので、表面の劣化がじりじりと進んでしまいます。

 クルマの塗装はそれなりに紫外線の耐性も考えられているようですが、それでも長期間の放置では劣化してしまいます。まず最表面のクリア層がダメージを受けてツヤがなくなってきます。これだけでも結構みすぼらしく感じてしまいますが、赤や黄色などの原色で発色の良いカラーの車両では、よりダメージを受けやすい傾向があるので、発色がどんどん失われていきます。赤いクルマだったのに、数年で白っちゃけたピンクになっていた……なんていうケースもたまに見かけます。

 これは内装にも当てはまります。とくに陽の当たる箇所のダッシュボードや後部席のヘッドレストが白っぽくなってしまっているのは、紫外線によるダメージです。

■カビや細菌の活性化で臭いが出る

 これは旧いクルマでとくに多い状況ですが、しばらく放置した車両のドアを開けたら、独特のなんともいえない臭いがブワッと漏れ出てくる、というケース。

 その原因としてはカビや細菌が挙げられます。クルマの室内は密室ですが、空調などの通路でわずかに外ともつながっていますので、湿気を含んだ空気が入ってきたりします。それが気温の高い時期に熱せられると温室のような状態になり、もともと付着していた皮脂や汚れなどに含まれているカビや細菌が活性化します。それがあの臭いの原因の主な部分ともいわれています。

 クルマの放置で起こる不調の原因をいくつか挙げてみました。長期間放置していると、このようにいろんな箇所でいろんな症状が進んでしまいます。クルマをひんぱんに動かしていれば、そのほとんどの原因が進まずに済ませられるので、不調や劣化を防ぐには放置しないというのが根本的な解決策だと思います。

 ある意味「目をかけてやらないと拗ねる」というのは間違いではないかもしれませんね。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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