なんとコルベットが「ハイブリッド」しかも「AWD」ってアリ!? ついに日本を走った「E-Ray」はどんなクルマ? (2/2ページ)

エンジンとは完全独立したモーターで前輪を駆動するE-Ray

 オイルの供給システムはもちろん低重心化に貢献するドライサンプ。3個のスカベンチングポンプをもち、サーキット走行などでの大きな横Gにも耐える性能を有しているのも特長だ。ミッションは8速デュアルクラッチを採用している。

 そしてこのE-Rayにとって最大の特長ともいえるのが、フロントアクスルに組み合わされるエレクトリックモーターだ。最高出力で162馬力を発揮するこのモーターは、コクピットのセンタートンネル内に配置される1.9kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーから電力を得て前輪を駆動。後輪は前で触れたLT2型エンジンからの出力でその駆動力が担われる。

「eAWD」と呼ばれるこのシステムの効果は大きく、エンジンとモーターには一切の機械的なつながりはないにもかかわらず、その綿密で正確な制御によって、あたかもさらに強力な自然吸気V型8気筒エンジンを搭載しているかのような、そしてコーナリングでは前輪のトラクションが、コーナーからの脱出に大きな効果を生み出すことは間違いない。

 参考までにシステム全体の最高出力は664馬力。この数字の説得力は大きい。

 E-Rayに設定されるドライブモードは「ツアー」、「ウェザー」、「スポーツ」、「レーストラック」、「マイモード」、「Zモード」、「ステルス」、「シャトル」の8つ。このなかでエレクトリックモーターのみによる、つまり前輪駆動のゼロエミッション走行を可能にするのは「ステルス」モードで、その最高速は72km/h。最大航続可能距離は4.8~6.4kmと発表されている。

 はたしてシボレーは、このE-Rayを皮切りに、アメリカ伝統のスポーツカーブランドをどのように進化させていくのだろうか。そしてその先には、他社のようにPHEVやBEVの時代が待っているのだろうか。参考までにこのE-Rayは、すでに0-60マイル(約96km/h)を2.5秒で加速するだけの運動性能を主張している。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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