ドライバーなしの完全自動運転が見えてきた! 日産の「ロボシャトル」に乗ったら「ここまできたか!」と驚きしかない!! (2/2ページ)

不安がない自動運転実用化はもうすぐそこだ

 しかし、日産の自動運転テクノロジーは着実に進化・進歩している。

 2024年からドライバーレス自動運転「ロボシャトル」によるモビリティサービスの実証実験を開始するというのだ。当初はスタッフが同乗する状態での実証実験から始めるというが、2027年度には自動運転レベル4を実現、ドライバーレスのロボシャトルによるモビリティサービスを実用化することを目指している。ロボシャトルのベース車両となるのはミニバン「セレナ」で、最大20台を運用するというから、かなり本格的なサービスとなりそうだ。

 というわけで、日産が目指すロボシャトルの実力は気になるところ。リーフをベースとした自動運転車両に試乗、その走りっぷりを体験してみることにした。

 スタートして最初に驚いたのは発進加速が、それなりに元気なことだ。

 筆者は約10年前に初代リーフをベースにした最初期の自動運転実験車両に乗った経験をもつが、そのときはおそるおそる発進している印象があった。10年ひと昔というが、現在の自動運転テクノロジーにおいては迷いのないしっかりとした加速を実現している。

 無人タクシー的モビリティとしてロボシャトルを運行させるということは、一般車両と混合して走ることになる。そのときに明らかにソロソロ・ノロノロと走っていては周囲のドライバーに自動運転は受容されがたくなってしまう。制限速度や一時停止、徐行といったルールを守ることは絶対条件ではあるが、その範囲内においてはベテランドライバー顔負けの積極的かつ安心できる確実な走りを見せてくれた。

 そうした性能を支える技術を象徴するものが、全身に配備された計30個のセンサー類だ。その内訳はカメラ14台、ミリ波レーダー10台、LiDAR6台というもので、つねに360°周囲を確認しながら走行している。カメラにより信号や先行車のウインカー点滅を認識できるので、赤信号では停止するし、青信号に変われば進む。先行車が路肩に止まろうとしたときには車線変更をしてよけるという振る舞いも可能になっている。

 また、右折信号がない交差点でも対向車や歩行者を確認しながら上手に右折したのには驚かされた。左折時にも歩行者の有無を認識するだけでなく、先行車の挙動に合わせた走りもできるというから、かなり人間の運転に近い。

 写真からもわかるように、今回の試乗はときどき霧雨と強風に見舞われるという悪条件下だった。こうした条件ではカメラの性能がフルに発揮できないこともあるが、前述したように複数のセンサー情報を利用していることもあり、非常にスムースな走行だった。唯一、強風によって道路上に街路樹の枝が落ちているというシチュエーションでは停止してしまったが、こうした問題点や課題を抽出することが実証実験の役割ともいえる。

 現時点ではシステムを監視するセーフティドライバーが必要な自動運転レベル2ということだが、機能的にはドライバーレスかつ遠隔監視で走行できる自動運転レベル4相当に近い仕上がりになっているという印象だった。

 遠い未来の話ではなく、数年後には日産の自動運転テクノロジーを活用した無人タクシーが、職業ドライバー不足という社会問題を解決することに期待したい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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