N-BOXのライバルが大量に出現中
さらには、同時期にフルモデルチェンジしたスズキ・スペーシアの存在である。
それまで中性的なキャラクターであったN-BOXの標準車が、現行モデルでは「可愛い系」に少し傾倒したスタイルとなった。中性的で乗り手を選ばないことが人気でもあったN-BOXが、スペーシアやダイハツ・タントに近寄ってしまったのである。しかもスペーシアは全車マイルドハイブリッドユニットを搭載している。つまり、ライバルメーカーも手をこまねいていたわけでもなく、多方面にわたりN-BOX包囲網ができているのである。
また、本稿執筆の少し前より6月デビュー予定の新型フリードのティザーキャンペーンが始まっている。それでも4月には4535台も現行型が新規登録されている。現行フリードがかなり好条件で販売されているようなので、N-BOXが前述したWR-Vだけではなくフリードあたりにも喰われてしまった可能性も高い。居酒屋の「とりあえずビール」ではないが、明確に軽自動車が欲しいわけではなく、「とりあえずホンダならN-BOXかな」とディーラーに足を運ぶひとも多いので、条件次第で登録車に流れる人も目立つのだろう。
登録車のみのランキングでヴェゼルが4位に入っている。ヴェゼルは4月25日にマイナーチェンジを実施しているのだが、モデル改良月に7752台も新規登録していることに驚かされた。そして、驚いてから数日後、幹線道路沿いの登録(軽自動車は届け出)済み未使用中古車店の前を通ると、ヴェゼルの登録済み未使用中古車が大量に展示されていた。
そもそも伝統的という表現もオーバーではないが、他メーカーが事業年度末の3月に全力投球して小休止気味の4月にホンダは頑張って販売促進を続け、販売ランキング上位にホンダ車が目立つことはあったのだが、今回はそれだけではない事情も見え隠れして興味深い統計となっていた。
軽自動車は今後も意地でもホンダはN-BOXトップを死守しようとするだろうから、その攻防に注目したい。当然現状の勢いのもとでそれを進めれば、自社届け出が増え、自社届け出車両が届け出済み未使用中古車として市場で目立ってくることは十分考えられる。
登録車では、クラウン・クロスオーバーが個人タクシーが目立つほど供給体制も良好であるし、改良直後のカローラも短納期となっている。
プリウスがリコールなどもあって納期未定となっていたり、ランドクルーザー系が新規受注停止となっていたりもしているが、全体ではトヨタの納期改善がさらに加速しているので、トヨタ一強が今後より先鋭化するのではないかと見ている。