最新装備がドライバーの負担を軽減
PCS(プリクラッシュセーフティシステム、歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ)は、衝突時の速度を抑えて衝突被害の軽減に寄与する装置。ミリ波レーダーと画像センサーにより、停止車両などの前方障害物を検知するものだが、今回の改良で静止歩行者の検知も可能になっている。これにより、車両の死角に入りがちな立ち止まっている歩行者も、ドライバーが把握しやすくなったわけだ。
EDSS(エマージェンシー・ドライビング・ストップ・システム、ドライバー異常時対応システム)の改良点は、車線内停止機能を追加したことだ。このシステムは、ドライバーに異常が発生した際、ドライバー席および客席上部に設置されたスイッチを押すことで車両が制動を開始する装置。このとき、車線を跨ぐなどして停止すれば事故を誘発しかねないため、同一車線内で安全に停止できるようにしたわけだ。その際には、ホーンの警報音やストップランプ&ハザードランプの点滅で、周囲の車両に異常を知らせるシステムが作動する。
新たに設定された安全機能はレーンキーピングアシストだ。これは、走行車線の左右白線をカメラで検知し、車線を逸脱しそうになった場合、ステアリング操作を電動アシスト制御するというものだ。従来の「車両ふらつき警報(操舵角センサーにより、ハンドル操作のふらつき具合の増大を検知すると警報を発するシステム)」や「車両逸脱警告(画像センサーにより、走行車線から逸脱すると警報を発するシステム)」を、さらに進化させた装置だといえよう。
このように、大勢の乗客を乗せて長距離を運行する大型バスは、安全・安心に向けた最新技術を惜しげもなく次々に投入している。こういった流れは、2024年問題で人手不足が深刻化しているドライバーの負担を軽減してくれることは間違いない。さらに、将来の完全自動運転化技術の開発にもつながっていくことになるのだろう。