日産エクストレイルについて解説! VCターボエンジンと進化したプロパイロット搭載で話題のSUVとは (2/2ページ)

国内車で初めてVCターボを搭載!

日産自慢のe-POWER搭載

 パワーユニットはいまや日産の主要ユニットとなったハイブリッドシステムのe-POWERを全車に搭載しました。

 e-POWERとはシリーズ式のハイブリッドシステムでエンジンが発電機を回すことで生まれる電力をバッテリーに充電し、バッテリーから送られる電力や、バッテリーがいっぱいのためエンジンから直接送られる電力を使いモーターを回しタイヤを動かす方式。

 先代にもハイブリッド車が設定されていましたが、1モーター2クラッチ・パラレル方式でしたのでシステム自体が異なります。

 現行モデルに搭載されたe-POWERは、国内車初となるVC(可変圧縮比)ターボを搭載したKR15DDT型1.5リッター直3エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドユニット。

 モーターは現行モデルのために専用開発されたものでFF車にはフロント、4WD車にはフロントとリヤにそれぞれ搭載されます。

 このモーターはノートに搭載されているものに比べて小型化を実現。また出力も向上し静粛性も高められました。

電動式4WD“e-4ORCE”を採用

 先代、先々代に搭載されていた4WDシステムはオールモード4×4-iと呼ばれる電子制御トルクスプリット式。ただ、現行モデルは前後にモーターを配置する電動式に変更されました。

 e-4ORCEと名付けられたこのシステムは運転状況(アクセル開度など)や、悪路での車両挙動をリアルタイムに制御し駆動力配分を制御。2つのモーターそれぞれは独立で制御できることで、駆動力を自由自在に配分できるのが特徴です。

 このシステムによりドライバビリティが向上したのはもちろん、リヤモーターのトルクにより加速性能もアップしました。

 現行モデルの4WD車はドライブモードが5モードを設定(FFは3モード)。FFに装備されている「スタンダード」「エコ」「スポーツ」に加えて、e-4ORCE搭載車には「スノー」と「オフロード」と4WD車の利点を活かすモードが設定されています。

進化したプロパイロットを装備

 現行型には日産が誇る運転支援機能“プロパイロット”が装備されていますが、先代の機能と比べてアップグレードが施されています。

 前方の状況を単眼カメラとミリ波レーダーで把握し高速道路上でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストするプロパイロットですが、現行モデルはナビの地図情報とリンクするタイプに変更。

 従来、ジャンクションなどのカーブで制御が途切れていたことに対して、ナビの地図情報を用いることでカーブに合わせて自動減速を行えるように進化し、コーナーで制御が途切れることがなくなりました。

 また上級グレードにはプロパイロット緊急停止支援システムを装備しています。

 この装備はプロパイロット使用時の運転中、予期せぬ事象が発生した場合(ハンドル操作が一定時間検知されず、警告にも反応が得られない場合)、ハザードを転倒しながら徐々にスピードを落として減速し停止するシステム。

 コネクティッドサービス“日産コネクト”に加入している場合、停止と同時にオペレーターが通話回線に接続し、ドライバーへ呼びかけを実施。この呼びかけに反応しない場合はオペレーターが位置情報をもとに近隣の警察や消防署に出勤を要請することで緊急時の対応が大いに高まりました。

現行エクストレイルのグレード・価格

 先代から大きく変わったといえば車両価格。先代デビュー時のエントリーモデル(20X/2列シート)が224万9100円で販売されていたことに対して、現行モデルでもっとも安い「S」ですら350万100円(デビュー時は319万円)と100万円以上も高くなりました。

 全車がハイブリッド車となったことや資材・パーツの高騰、安全装備の充実などさまざまな要因はありますが、歴代ユーザーを中心に高すぎるとの声が上がっているのも事実です。

まとめ

 国産SUVのなかでも、オフローダー要素を備えた個性派として人気を得ていたエクストレイル。世代が進むとともにタフさだけでなく高級感も備わってきた同車は、現行モデルでとくに上質さが際立つモデルとなりました。

 コンセプトとなるタフギアの道具感こそ初代や2代目と比べて薄くなりましたが、いまだに国産SUVのなかでは個性を備えた1台なのは間違いありません。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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